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株式(31)外国株式 中国株式市場の特徴とリスク

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中国市場の特徴 相互取引(ストックコネクト)という好手

 

中国株に投資したいと思った時に、中国には3つの市場があります。上海市場(A株 B株) 、 深圳市場(A株 B株) 、香港市場(H株、レッドチップ、他、GEM) です。その他には、米国のADR(米国預託証券)を通じて中国株に投資する事も出来ます。

棲み分けとしては、上海市場が重厚長大のオールドエコノミーの企業が多く、深圳市場はITやサービス業などのニューエコノミーの企業が多いという特徴があります。新規公開銘柄も、大規模な会社は上海市場に、ベンチャー企業は深圳市場にと棲み分けされています。上海市場と深圳市場で重複上場はありません。

香港は1997年までイギリスに統治されていました。そのため、香港市場のルールの基盤はイギリスの基準で決まっており、広く海外投資家にも解放されています。香港市場と上海・深圳市場との重複上場はあります。

上海市場と深圳市場は、A株は中国国内投資家と少数の機関投資家のみ、B株は海外投資家のみで中国国内投資家は参加出来ないという棲み分けがありました。B株は非常に市場規模が小さく、また、A株とB株で裁定取引も働かないため、我々個人投資家が、上海市場や深圳市場に投資するのは非常に困難でした。

しかし、2014年からスタートした上海香港株相互取引(上海香港ストックコネクト)と、2016年からスタートした深圳香港株相互取引(深圳香港ストックコネクト)により、海外投資家も香港市場を通じて今までよりも格段にA株市場に投資しやすくなりました。

ストックコネクトは簡単に言ってしまうと、香港証券取引所を通じて上海や深圳のA株を売買するという事です。後ほど詳しく説明します。

さらにADR(米国預託証券)の拡充により、米国市場からも中国株に投資しやすくなりました。

しかし、中国の市場は解放されてきていますが、中国株を取り扱っている証券会社は、米国株を取り扱っている証券会社ほど多くはありません。また、取り扱っていても、取扱い銘柄数は、かなりマチマチなので証券会社を選ぶ際は注意が必要です。特にストックコネクトによるA株を取り扱っている証券会社は限られています。私の知る限り(2020/07/07現在)では、内藤証券が取扱い市場(香港市場・A株市場)も各市場の取扱い銘柄数も非常に充実しています。

(表中の対象投資家・海外投資家はストックコネクトを考慮しない場合です。)

市場 特徴 指数・市場規模 通貨・対象投資家 海外投資家
上海市場 A メインボード 大型株中心。IPOは大企業。 上海A株指数・上海総合指数・時価総額 約488.13兆円 人民元・中国人向け市場 機関投資家など一部に解放
科創板 ハイテク企業 時価総額 約25.41兆円
B メインボード 上海B株指数・上海総合指数・時価総額 約0.96兆円 米ドル・外国人向け市場 解放されているが取扱い証券会社が限られる
深圳市場 A メインボード 大型株中心。IPOはベンチャー企業。 深圳A株指数・深圳総合指数・時価総額 約115.49兆円 人民元・中国人向け市場 機関投資家など一部に解放
中小板 中小型株 時価総額 約163.08兆円
創業板(チャイネクスト) 新興企業 時価総額 約111.13兆円
B メインボード 深圳B株指数・深圳総合指数・時価総額 約0.70兆円 香港ドル・外国人向け市場 解放されているが取扱い証券会社がかなり限られる
香港市場 メインボード H株 中国本土で事業をしている企業 H株指数 香港ドル・外国人向け市場 解放されている
レッドチップ 中国政府系の資本が入った企業 レッドチップ指数
香港 H株、レッドチップ以外の企業 ハンセン指数・メインボード全体時価総額 約483.19兆円
GEM 新興市場 時価総額 約1.33兆円 解放されているが取扱い証券会社が限られる

 

重複上場まとめ

上海市場と深圳市場に重複上場はありません。

香港市場と上海・深圳市場との重複上場はあります。

上海・深圳市場のA株とB株は重複上場があります。

上海・深圳市場のA株と米国市場など海外市場との重複上場はあります。

米国市場と香港市場の重複上場もあります。

重複上場している銘柄は、それぞれの市場での発行済み株式数が決まっています。そして、それぞれの市場で取引き出来る人が限られていたため、裁定が働かず同じ権利の株式が市場によって大きく株価が違ってしまっていました。

相互取引(ストックコネクト)とは? 滬港通(ここうつう)・深港通(しんこうつう)
(1)上海株と香港株の相互取引は上海香港株ストックコネクト、滬港通(ここうつう)とも言います。

海外投資家は、香港証券取引所を通じて上海のA株を売買出来ます。

対象銘柄は、「上証180指数・上証380指数の構成銘柄、A株H株同時上場の銘柄のA株」で、2017年1月現在574銘柄です。(実際に取引き出来る銘柄は、574銘柄のうち各証券会社が取り扱っている銘柄です)

中国人投資家は、上海証券取引所を通じて香港株を売買出来ます。

対象銘柄は、「ハンセン総合(大型・中型)株指数構成銘柄、A株H株同時上場の銘柄のH株」で、2017年1月現在316銘柄です。

(2)深圳株と香港株の相互取引は深圳香港株ストックコネクト、深港通(しんこうつう)とも言います。

海外投資家は、香港証券取引所を通じて深圳のA株を売買出来ます。

対象銘柄は、「深証成分指数・深証中小創新指数(時価総額60億元以上)の構成銘柄、A株H株同時上場の銘柄のA株」で、2017年1月現在904銘柄です。(実際に取引き出来る銘柄は、904銘柄のうち各証券会社が取り扱っている銘柄です)

中国人投資家は、深圳証券取引所を通じて香港株を売買出来ます。

対象銘柄は、「ハンセン総合(大型・中型・小型(時価総額50億香港ドル以上))株指数構成銘柄、A株H株同時上場の銘柄のH株」で、2017年1月現在416銘柄です。

(1)(2)とも、これまでのQFII(適格外国機関投資家)制度との大きな違いは、中国人投資家、外国人投資家ともにA株、香港株が売買出来るようになる双方向の取引という事です。また、外国人の一般投資家がA株の個別銘柄を売買出来るようになる事も大きな特徴です。ストックコネクトは、すべて人民元建てとなります。

 

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中国の政治 強い政治的なリーダーシップは諸刃の剣

日本や欧米などでは、立法・司法・行政の権力を分ける三権分立制をとっています。中国の政治は、共産党に権力が集中しています。そして、中国の憲法では、共産党が人民を指導すると記されております。つまり、集中した権力(国)を共産党が指導するという体制です。

共産党総書記は、国家主席と中央軍事委員会 主席も兼任し、絶大な権力を持ちます。アメリカの大統領も絶大な権力を持ちますが、三権分立していない中国では、その権力は司法や企業にも直接的に影響します。

強い政治的なリーダーシップは、良い方向にいけば、14億人の市場としては考えられないスピード感で物事が進んでいき、経済的に大きなメリットになりますが、問答無用で変わるルールは、外国企業や投資家にとっては大きなリスクでもあります。

中国の政治は、投資家にとって諸刃の剣と言えます。

投資環境(11)中国の政治をわかりやすく

中国市場のリスク  政治 賄賂 少子高齢化

政治的なリスクとしては、事業環境の変化や法改正が頻繁で、且つすぐ運用されるという事です。

また、賄賂や不正の感覚も日本などとは違います。証券投資ならば、そこまで深刻ではありませんが、賄賂や不正の感覚が違うというのは、「周りがやっていて不利になる」というレベルではなく、「やらないと話が進まない」というレベルです。

その他には、1979年から2015年まで続いたひとりっ子政策ですこの結果、中国では急速に高齢化社会が訪れるのではないかと言われています。

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株式(32)外国株式 新興国への個別銘柄投資は非常に困難

新興国のストロングポイントは、高い成長性、広い国土、豊富な資源、平均年齢の低い人口ピラミッドなどが挙げられます。リスクとしては、インフレ率の高さや、政治リスク、そもそも働くのが嫌いな国民性などもあります。

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世界4位の国土と世界1位の人口、豊富な資源。世界2位の経済規模と世界1位の外貨準備高。そして、4000年の歴史。こんなものを持ち合わせている国は、世界中見渡しても他に見当たりません。

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