投資環境（11）中国の政治をわかりやすく

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中国の政治

権力の座に据わるパンダの図

日本や欧米などの民主主義の国では、立法・司法・行政の権力を分ける三権分立制をとっています。社会主義の中国の政治は、国に権力が集中しています。そして、中国の憲法では、共産党が人民を指導すると記されております。つまり、集中した権力(国)を指導するのが共産党という形式です。「なぜ憲法にそんな事が？」と思いますよね？ 現在の中華人民共和国の建国が1949年で、共産党の結党が1921年、つまり建国の時には既に共産党が権力の座に据わっていたからです。

全国人民代表大会(全人代)は立法府、日本の国会です

(補足) 日本の国会は立法、内閣は行政、裁判所が司法です。

毎年3月に全国人民代表大会(全人代)という一大イベントが開かれます。全人代は日本の国会にあたり、立法府になります。主な仕事は、立法、監督、人事、重大事項決定などです。選挙で選ばれた、任期5年の約3000人の人民代表が、予算や法律を決めたり、憲法改正などを行い、行政、司法を監督します。その他にも、国家主席(元首)や総理(行政)、司法のトップ、軍事のトップの人事なども行います。

日本とあまりにも違い過ぎてピンと来ないかも知れませんが、国会が年に１度という事です。

全人代は年に１度の開催なので、それ以外の期間の国会の承認事項などは、全人代から選出された、全人代常務委員会が行っています。委員長 副委員長 秘書長 委員(約200人)から構成されています。後から出てくる、共産党政治局常務委員会とは別物ですが、共産党政治局常務委員の１人が全人代常務委員会 委員長も兼任しています。

全人代の指導をするのは共産党です。選挙で選ばれる3000人の人民代表も、実際には共産党に推薦された人が当選します。また、人民代表3000人の多くは共産党員です。

そして共産党の指導は、全人代だけではなく、地方の市の市長、学校の校長などに至るまで、それぞれに共産党の指導者が付いているとイメージして下さい。そして、実権は共産党の指導者が握っているため、共産党の一党独裁が成立しています。

共産党と五年に１度 秋の共産党大会

さて、ではその共産党の人事はどうなっているのでしょうか。共産党員は約9000万人います。昔は、中国で共産党員と言えばエリート中のエリートというイメージでしたが、9000万人/14億人ですから国民の15人に1人くらいは共産党員です。9000万人の共産党員が、約2300人の党大会代表を選びます。この約2300人の党大会代表が、5年に１度の秋の共産党大会に出席します。

共産党大会では、共産党の重要な人事や指導方針、党規約の見直しなどの重要事項が決められます。

約2300人の党大会代表は、約200人の中央委員とその補欠である約100人の中央委員補を選びます。中央委員は、5年間に7回開かれる中央委員会全体会議(中央委員会総会とも言う)に出席し、5年に１度しか開かれない共産党大会を補います。

この中央委員会全体会議で約25人の政治局員と、政治局員の中から7人の政治局常務委員会委員(常務委員)、さらに、常務委員から1人が総書記に選ばれます。政治局員は、月に１度の政治局会議に出席して、中央委員会全体会議を補い、常務委員は、さらに毎週開かれる会議に出席し、日常的に政策を運営しています。そのため、中国は実質この7人が動かしていると言われています。

この7人の常務委員会委員は、国務院総理・全人代常務委員長・他要職も兼任しています。そして、共産党のトップの総書記は、国家主席と中央軍事委員会 主席も兼任します。

まとめ

全人代は１年に１回ある国の最重要会議で、共産党大会は５年に１回の共産党の最重要会議です。そしてそれぞれに、より開催頻度の高い上位役職者の会議があります。

日本の常識と違い、国を指導するものとして国の上に共産党が位置するので、全人代よりも共産党大会の方が最重要になります。

中国の政治は、投資家にとって諸刃の剣です。強い政治的なリーダーシップは、経済的には大きなメリットですが、問答無用で変わるルールは、外国企業や投資家にとっては大きなリスクになります。

共産党・国家の主な会議

中国の政治家の役職

共産党の役職です。

国家機構の役職です。