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株式(5)ファンダメンタルズ分析 割安株(バリュー株)って何?

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前回はマクロの投資環境のファンダメンタルズ分析でした。今回は個別銘柄 割安株(バリュー株)のファンダメンタルズ分析です。次回は、個別銘柄 成長株(グロース株)です。

個別銘柄のファンダメンタルズ分析

個別企業のファンダメンタルズ分析は、企業の財務状況や業績を元にして、株式の本質的価値を見いだそうとするものです。そして、本質的価値と市場価格にギャップがあった場合は、いづれは本質的価値に集約されるだろうから、そこに投資機会が生まれるという考え方です。しかし、一向に集約されない事もままあります。

対してテクニカル分析はチャートなどを使い、過去の値動きのパターンや株価位置から現在株価が割高か割安かを判断しようとするものです。

チャートとは、投資家の売買の、価格と量の記録を時系列に並べたものです。つまり、過去の投資家の行動から未来の投資家の行動を予想しようというものです。

長期投資で、もし、ファンダメンタルズ分析で本質的価値を完璧に近く分析出来るならば、テクニカル分析は必要ないと言われています。しかし、それは財務分析などを自分で行い、経営者の資質や性格、会社の人事にいたるまで把握するような分析です。通常は、両方を組み合わせて使う事が大切かと思います。

個別銘柄をファンダメンタルズ分析から選ぶ場合、大きく割安株か成長株かで分かれます。今回は、割安株(バリュー株)の説明です。

割安株(バリュー株) 代表的な指標にPERやPBRがあります

割安株(バリュー株)は、同業他社や同じ尺度で比べられる他社と比べて割安な銘柄です。その会社の1株当りの資産や収益、或いはそれらを加工した指数などで比べます。株価が現在の本質的価値と比べても割安な銘柄を選ぶため、安値圏で買うことが多く全体的にローリスク・ミドルリターンが狙えます。ただ、株式ですのでローリスクといっても全体相場によっては、半値になる事もありますし、ミドルリターンと言っても2倍3倍になる事は普通にあります。

割安株特有のリスク 業績面の不安が現実になることも

割安株を買って「儲からなかった」「損した」と言うのはどういう理由が考えられるでしょうか。割安株投資で特に気を付けなければならないリスクです。

水準訂正もなく割安に放置されて上がらない

万年割安株と言われる銘柄や業種もあります。このリスクはある意味仕方ないと思いますが、割安が解消されるシナリオを考え、その可能性を考えると、見切りを付けるかどうかの目安にはなると思います。

資産や業績の方が悪化して、割安ではなくなってしまった

元々割安株というのは、将来的な資産や業績に不安があるからこそ割安に放置されている場合が多く、ある意味、順当にいけばこうなります。こうならない銘柄を選別するのがファンダメンタルズ分析です。

資産状況がさらに悪化してくると、減資や第三者割当増資などファイナンス絡みのリスクが出て来ます。減資と言うのは、10株を1株に併合するなどの事です。これだけでしたら自分の持株も減りますが、発行されている株がすべて減るので持株比率は変わらず、減資前と減資後で持株の価値は変わりません。しかし、大抵の場合は、減資した分、増資もセットで行われ、新株は新しく資金を出してくれる出資者に割当てられるので、増資の株数によっては、持株の価値は1/10などになります。

第三者割当増資は、真っ当な第三者割当増資なら良いのですが、不公正ファイナンスの温床にもなっていますので、注意が必要です。不公正ファイナンスは会社の指定した人や企業に破格の条件で株式を発行します。これをやられると持株の価値はみるみる希薄化していきます。そして、ハコ化した企業の場合、骨の髄まで吸い取られます。割安株、特にPBRで銘柄を選ぶ時は1番のリスクになると思います。知っておいた方が良いと思います。

不公正ファイナンスについて証券取引等監視委員会のメールマガジンを貼って置きます。↓

証券取引等監視委員会ウェブサイト

さらに業績が悪化したり、大きな悪材料が出ると、破綻・上場廃止などとなります。上場廃止などの場合は、潰れなかったとしても、100%減資などで株式の価値は無くなる事がほとんどです。昔は、「紙切れになる」などと言いましたが、今は電子取引きです。紙切れも残りません。

PER(株価収益率)って?特徴と銘柄を選ぶコツ

割安株を探す代表的な指標は、株式をやっていれば誰もが知っているPER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)です。

PERは「一株当り利益の何年分株価が買われているか」という指標で単位は率ではなく倍(何年分)です。株価に対して利益率が高い銘柄を探す指標です。数字が低いほどに買われていなくて割安という事になります。式は、

PER(株価収益率)=株価÷1株当りの利益(EPS)

となります。

利益が乱高下していたり、今期だけ特別な利益があったり、含み損を抱えていたりすると騙される事があります。あまりに利益が少ないとPER999倍なんて事になりますが、赤字だと横棒(ー)です。「こっちの方が目立たないのに」って思ってしまいます。当たり前の事ですが、低PERの銘柄は黒字です。

あくまでも、単純に株価を株数と今期の利益で割っているだけなので、ソートして出てきた銘柄から自分で吟味していく事になります。単純なだけに使い勝手が良く人気があります。

PERで銘柄を選ぶコツは現在PERが低いという事と、しっかりと利益が伸びていて株価が上がっていないのにPERが高くなってしまう銘柄を避ける事です。

PBR(株価純資産倍率)って?特徴と銘柄を選ぶコツ

PBRは「1株当りの純資産(解散価値)の何倍まで買われているか」という指標でこちらも単位は倍です。ただし、何年分ではありません。資産から見た割安株を探す指標です。こちらは、赤字の会社もあります。

こちらも低いほどに割安で、PBR 1倍を割り込むと解散価値を割り込んでいるなどと言います。式は、

PBR(株価純資産倍率)=株価÷1株当りの純資産(BPS)

となります。

「解散価値を割り込む」と言うのは、例えばPBR 0.8倍の会社は、現在の株価で買い取って解散させた場合、約20%の利益になるという事です。そんな会社がゴロゴロとあります。割安とか言う以前におかしいですよね。そこのところの疑問にお答えします。

PBRは純資産が減ると数字は大きくなるので、赤字が出ると株価が上がらなくても割高になっていきます。しかし、純資産を大きく食い潰すような目立った赤字が見当たらない場合は、何かしら問題を抱えていると思えます。

例えば、大きな訴訟を抱えているとか、親会社が手を引いたら即積んでしまうとか、取引き会社一社に大きく依存していて、そことの関係が怪しいとか、第三者割当増資を頻繁にしているとか、慢性的な赤字体質だとか、何かあるはずです。十分調べてから投資するべきと思いますが、何も出なければどんなに調べても不安は尽きないと思います。

このリスクを避ける1つの方法としては、「アナリストレポートを探してみる」若しくは、「アナリストレポートの中から選ぶ」です。アナリストがレポートを書いている銘柄は、デフォルトリスクがあるのならしっかりかかれていると思います。完全とはとても言い難いですが、かなり効果的ではあります。

PBRで銘柄を選ぶコツは、よく「PBR1倍割れは割安」などと言いますが、1倍以下にはあまり拘らない事です。1倍前後から下で良いので、しっかりと利益を上げている銘柄を選びましょう。ちゃんと黒字で変なものが無ければ株価が解散価値に近いだけでも十分割安です。元々割安な銘柄の中から選ぼうとしているので、「より割安な銘柄」を探すよりも「変なモノがない銘柄」を探して下さい。

PERもPBRも簡単にスクリーニング出来ますが、そこから銘柄を選ぶのが本番です。

次回は、個別銘柄 成長株(グロース株)です。

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株式(6)ファンダメンタルズ分析 成長株(グロース株)って何?

テンバンガード(10倍になる銘柄)や100倍になる銘柄がでるのは、ほぼこの成長株というカテゴリーになります。しかし、株価位置としては、かなり上がった所を買うことになります。安いところが買えればいいんですけどね。

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株式(4)ファンダメンタルズ分析 マクロと業種別の投資環境

実戦では、業種別やテーマ別のレポートがカギになります。また、マクロの投資環境で各種経済指標は国の現状、経済政策は「景気のコントロールをするため」と考えればシンプルです。では、景気対策って?如何にして物やサービスを売るかという事です。

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