次ページ 投信(15)外国債券型投信 魅力的だが低金利で難しい時代
投資をする際、投資家は色々な事をしなければなりません。金融商品や相場の勉強。投資対象の選択。分散投資と管理。やる事はいっぱいです。投資信託は、その手助けをしてくれる商品で、投資信託を使う事によって色々な手間を省く事が出来ます。
目次
外国株式と比較しての海外株式投信のメリット
外国の株への投資と自国の株への投資。1番大きな違いは情報格差ではないかと思います。
多くの日本人に、1番親しみのありそうな米国への投資を例に話をします。
マイクロソフトやアマゾン等のグローバル企業は別にして、米国国内で活躍している企業の情報は、普段はほとんど入って来ません。
それでもインターネットの時代です。グーグルで検索すれば、何と!英語のページが日本語に変換されて読めるではありませんか! そういう意味では、昔とだいぶ状況は変わってきていると思います。
しかし、トランプ大統領の演説がニュースで流れても、英語が聞き取れない時点で「何のこっちゃ」です。ニュアンスもへったくれもありません。
情報はニュースキャスターの要約頼みです。米国株を1番取引するであろう米国国民の物事の考え方や感じ方も、日本人のそれとは違います。
米国でさえこの状況ですので、より馴染みの薄い国や地域は、さらに情報の質と量が落ちる事になります。
国名は誰でも知っているのに、よく考えると詳しい事は何も知らないって国、多いですよね。ほぼ情報が無いに等しい国も多いかと思います。
頑張って国の基礎データや全体相場までは情報を集められたとして、個別銘柄までは難しいと思います。
こういう個人ではなかなか情報の取りにくい取引こそ、投資信託の「専門家が運用します」というメリットが活きてきます。
海外株式は、そういう意味では投資信託と相性の良い投資対象かと思います。
どんな国・地域に投資出来る?
海外株式投信の投資対象は、ある程度の市場規模があり、投資家にニーズのある国・地域です。過去に破綻した事があるなどの、カントリーリスクの高い国は敬遠されがちです。
参考 | |
G7加盟国 | 米国・日本・ドイツ・イギリス・フランス・イタリア・カナダ |
G20加盟国 | G7+BRICs+オーストラリア・インドネシア・韓国・メキシコ・アルゼンチン・サウジアラビア・トルコ・欧州連合 |
BRICs | ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ |
NEXT11 | インドネシア・韓国・ベトナム・フィリピン・バングラデシュ・パキスタン・イラン・エジプト・トルコ・ナイジェリア・メキシコ |
投資対象となる主な国・地域です。
地域を投資対象としたファンド | 主な投資対象国 |
地理的な地域と投資対象地域には、若干ズレがあります。例えば、オセアニアは14ヵ国ありますが、主な投資対象国と言えそうなのは、オーストラリアとニュージーランドの2ヵ国です。(%は大体こんな比率が多いかなという目安です。) | |
全世界(グローバル) | ざっくりとG20加盟国辺り |
全世界と言っても米国を50~60%以上組み入れ、残りを10~20ヵ国程度に数%づつ組み入れるファンドが一般的です。 | |
先進国 | ざっくりとG7加盟国辺り |
先進国も米国を60~70%位組み入れ、残りを先進国の株式に数%づつ組み入れるファンドが一般的です。 | |
新興国(エマージング) | BRICsとNEXT11 辺り |
新興国の場合は、中国が40%前後、台湾、韓国が10~20%、インド、ブラジルなどが数%、他が1~2%前後という組み合わせが目立ちます。 | |
北米 | 米国とカナダ (メキシコ) |
米国70~80%、残りをカナダという組み入れが一般的です。メキシコは中南米に分類される事も多いように思います。 | |
中南米(ラテンアメリカ+カリブ海) | ブラジル・メキシコ・他中南米諸国 |
中南米では、ブラジル60%~70% メキシコ10%~30% 他1~2%づつの配分が目立ちます。学術的には、メキシコは北米とか、中南米とラテンアメリカは違うとか色々あるようですが、ブラジル・メキシコ以外の国の組み入れ比率は低いため、メキシコが入るか入らないかだけ確認しておけば良いです。 | |
欧州(ユーロ・ヨーロッパ) | ドイツ イギリス フランス スイス イタリア オランダがメイン。 |
ドイツ、フランス、スイス、イタリア、オランダ、イギリス辺りがメイン。ユーロにはイギリスが入らない事に注意。 | |
北欧(ファンド少ない) | ノルウェー スウェーデン デンマーク フィンランド アイスランドの5ヵ国 |
ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、アイスランドが北欧5カ国だがアイスランド以外の4カ国がメイン。アイスランドはリーマンショックで破綻しかけた過去があるためと思われる。 | |
アジア | 中国 台湾 韓国 インド インドネシア シンガポール 他 |
アジアと名の付くファンドは、中国の比率が高くなります。次いで台湾・韓国です。インド・インドネシアは意外と比率は高くないようです。中国40%前後、台湾・韓国10~20%前後、インド・インドネシア・シンガポール・他が数%のイメージ。 | |
アジアオセアニア | アジア+オーストラリア ニュージーランド |
オセアニアは14ヵ国ありますが、主な投資対象国と言えそうなのは、オーストラリアとニュージーランドの2ヵ国です。 | |
BRICs | ブラジル ロシア インド 中国 南アフリカ |
南アフリカを除いた4ヵ国に均等に投資するファンドや、 5ヵ国均等のファンドが目立ちます。中には、中国の比率が50%位占めるファンドもあります。 | |
中近東(ファンド少ない) | サウジアラビア カタール クウェート UAE エジプト他 |
サウジアラビア40%前後、カタール・クウェート・UAE・エジプトなどが10%前後。エジプトは地理的に中東とアフリカに跨がります。 | |
アフリカ(ファンド少ない) | 南アフリカ エジプト ケニア ナイジェリア 他 |
南アフリカ40%前後、エジプト・ケニア・ナイジェリアなどが10%前後。エジプトは地理的に中東とアフリカに跨がります。 |
複数国を投資対象とする投資信託でも、単一国で投資信託を組めるような国の株式を数十%組み入れて運用する事が一般的なようです。
全世界とか先進国、北米などの、米国が絡む地域は殆ど米国+α という内容になります。除く日本ではなく、除く米国が欲しいところです。
また、新興国とかアジアなどの中国が絡む地域では、中国の比率が高くなりがちです。個人的には、新興国やアジアよりも、BRICsの方がバランス良く投資されている気がします。
いくつかのファンドに分散投資するならば、米国、中国、欧州(イギリス込み)、BRICsの4種類をベースにすると、大きな経済圏をバランス良く網羅出来そうです。
国を投資対象としたファンド | 主な投資対象指数 |
米国 | NYダウ S&P500 NASDAQ |
全体相場だけでなく規模別やテーマ別など、色々な切り口の投資信託が選べます。全世界株式ファンドや先進国株式ファンドも米国株式+α ファンドと言っても良さそうです。 | |
中国 | 上海 深圳 香港 ハンセン指数 H株 レッドチップ |
米国程ではありませんが、色々な切り口の投資信託が選べます。この2ヵ国は他の国々とは別格です。 | |
ブラジル | ボベスパ |
BRICsの一角です。広い国土、豊かな資源、豊富な労働力と人口。これらがあると、国内消費市場の充実→消費大国→さらなる経済発展と期待出来ます。 | |
インド | SENSEX(センセックス)指数 |
ブラジル同様、BRICsの一角です。広い国土、豊かな資源、豊富な労働力と人口があります。 | |
オーストラリア | ASX指数 |
指数よりも高配当株式などが注目される国です。 | |
インドネシア | ジャカルタ総合指数 |
NEXT11の中で、1番投資妙味のありそうな国の1つです。 |
投資対象国・地域についての魅力やリスクは、
に記載しています。
世界には沢山の国がありますが、単一国で頻繁に投資信託を組まれる国は数ヵ国に限られます。
ロシア、ドイツ、イギリス、フランス、イタリアなどは、大国ですが単一国の投資信託はあまり見かけません。
思い返せば、証券業界に携わって30年以上経ちますが、「ドイツ株式投信があったら良いな」 などと思った事は、1度も無かったような気がします。
日本がGDP世界2位とか3位の経済大国なので、同様の先進国の4位以下にはあまりニーズが無いのかも知れません。
また、欧州は政治も経済も、米国に比べると安定を望む傾向にあるため、国家としては非常に良い事だと思いますが、投資先としての面白味には欠けるのかも知れません。
海外株式投信の選び方・使い方
いくつかのファンドに分散投資するならば、米国株式ファンド、中国株式ファンド、欧州(イギリス込み)株式ファンド、BRICs株式ファンドの4種類をベースにすると、大きな経済圏をバランス良く網羅出来そうです。
状況や好みに応じて、比率を変えたり、テーマ別を加えたりすると良いでしょう。
全世界株式ファンドとか先進国株式ファンドを組み入れる場合は、米国株式ファンドと置き換えて、米国株式の組み入れ比率を考えて組み入れましょう。
同様に、アジア株式ファンドとか新興国株式ファンドを組み入れる場合は、中国株式ファンドと置き換えて、中国株式の組み入れ比率を考えて組み入れましょう。
なお、為替ヘッジ付のファンドの場合は、為替ヘッジのコストは、通常、日本円と現地通貨の金利差分程度かかります。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
次回は、外国債券型投信です。
-
投信(15)外国債券型投信 魅力的だが低金利で難しい時代
債券は投資信託と相性が良く、債券型投信は魅力的な商品です。しかし、今、先進国の金利は最低水準で、金利上昇局面に弱い債券ファンドは、選ぶのが難しい時代でもあると思います。
-
投信(13)国内株式投信の長所短所・株式との比較
国内株式投信の組み合わせは多岐に渡ります。これは、「たくさんから選べてよかったね♪」と喜んでばかりもいられない話で、欲しい投資信託を検索するのが非常に難しくなってしまっています。
別ページに掲載している、海外株式投信の簡単な紹介文も貼り付けておきます。
海外株式投信
特徴
海外の株式を対象とした投資信託。対象地域は、全世界を対象にしたものや、全世界から日本を除いたもの、米国株、中国株、新興国株など様々。為替ヘッジの有り無しが選べたり、毎月分配型投信もある。
メリット
取扱い証券会社や情報が少なく、個別銘柄では投資しずらい国や地域にも投資出来る。分散投資の幅を世界に拡げられる。
デメリット
アクティブ型の場合、信託報酬が比較的高め。
選別のポイント
まず、投資する国・地域を選ぶ。為替ヘッジの有無を確認し、選べるならば選ぶ。
パッシブ型かアクティブ型か、希望が決まっているならば選択する。
パッシブ型の場合は、対象指数が重要になる。
アクティブ型の場合は、対象指数に対しての成績や信託報酬も確認する。