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株式(26)日本人はなぜ投資に消極的?投資 投機 ギャンブルの違い

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前回は、国内と海外の株価の長期推移の違いと、日本人の投資行動に与えた影響でした。今回は、日本人が投資に消極的な(たぶん)1番大きな理由です。株価の長期推移よりも大きな理由だと思います。

投資に消極的な本当の理由は? 投資・投機・ギャンブルの違いがわからない

私は、日本人が投資に消極的な1番の理由は、投資環境以前の問題だと思っています。

戦後の高度経済成長期、その当時の日本人は勤勉である事を良しとし、自分の贅沢や遊びを二の次にして、子供の教育に投資してきました。その成果が今日の日本なので、素晴らしい事です。その過程において、「ギャンブルをする事は悪い事。」「ギャンブルは身を持ち崩す。」「ギャンブルは一切やらないのが1番良い。」などと、ギャンブルに類するものは嫌われて来ました。実際には、公営の競馬場や競輪、パチンコ、宝くじなども有り、娯楽の範囲のギャンブルについては賛否両論あります。しかし、そこに大金を投じるとなると話は違います。それを良しとする人はほとんどいないでしょう。ギャンブルについては、それで正しいと思います。そして、紛らわしい事に、投資は娯楽の範囲を超えた大金を投じます。

しかし、ギャンブルも投資もしない人たちに、ギャンブルと投資の区別が付くのでしょうか。「投資はギャンブルに類するもの」として捉えられてしまっている事こそが、日本人に投資が浸透しない一番の原因かと思います。

「投資と投機は違い、投機はギャンブルだ。投資をしよう。」などとも言いますが、株式市場にも為替市場にも投機筋といわれる人達はいて、法人として世界的に活躍している人達もいます。彼らはギャンブラーではなく、立派な投資家です。

ギャンブル的な投資を投機と言うのだとすると、投資と投機の境界線は非常に曖昧で、主観的なものだと考えています。長期間持つのが投資で短期売買は投機とか、優良株は投資で業績の裏付けのないものは投機とか、そんな単純な話ではありません。それなら誰も誤解しないですよね。

読み切れないリスクは常にありますが、私は、論理的に勝ち筋が見えている物事に、資産を注ぎ込む事が投資だと考えています。仮に農業や商業など、非常に真っ当な職業でも、何も勉強せず、勝ち筋の見えないまま始めてしまうのは投機だと考えています。逆に、極端な話、競馬やパチンコなど(合法なもの)でも、論理的に勝ち筋が見えているのであれば、それは投資だと思います。ただ、農業や商業は勉強すれば勝ち筋をパターン化出来る仕事であるのに対し、競馬やパチンコの勝ち筋はかなり曖昧で、業者しだいでコロコロ変わるものです。投資だったはずが、いつの間にか投機に変わってしまうリスクも高いと思います。

株式投資も同様で、勝てるパターンを学び、個別に補いきれないリスクは全体の資金配分で補うなど、しっかりと計画を立てて行うのが投資です。しかし、まったく同じ取引きをしていても、多くを運や勘に任せているのであれば、それは投機だと考えています。運や勘に絶対の自信がある!とか言いだす人は・・・・もう、、好きにして下さい。(*_*)

多くの日本人は、ギャンブルにも投資にも馴れていないため、主観的なその境界線を、自分で引くことが出来ないのだと考えられます。

始めたばかりの頃などは、何もわからないわけですから、どうしても投機の色合いが強いと思います。これも投資に消極的になる原因かと考えられます。慣れるにしたがって投資になってくると思いますので、気にしなくて良いと思うのですが。

 

加えて、日本人の性格や生活が投資に歯止めをかけます。

日本人は「周りの人に合わせる傾向」があり、さらに追い討ちをかけるように、「お金や貯蓄の相談を、知り合いや、家族にさえ殆どしない」という傾向もあります。証券会社の社員だった頃の経験からすると、ある程度相続で財産を受け継いで来たような資産家ならば、家族や友人とお金のお話もするようでしたが、庶民はしません。友人とはまずしませんし、親子でもほとんどお金の話題には触れないようでした。人に聞かれると「いやいや、投資なんかやっていないよ」と答えます。周りの人に合わせる傾向にある日本人がそれを聞いたら・・・まあ、投資はやらなくなるでしょうね。

そういう意味では、これから先の近い未来、カジノ法案成立を受けての総合型リゾートが稼働する事が、日本人の投資に対する考え方に転機をもたらしてくれるかも知れません。何事にも突き詰める傾向にある日本人。良い方向に行ってくれれば良いのですが。

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相続についてワンポイント

庶民にとって、親子で相続について話すって、中々しづらいものですよね。お金持ちは、普通にしますけど。親の方は、まだいくぶん言い出しやすいのかも知れませんが、それでも、子供といえども自分の財産を明かしたくはないし。子供からは根掘り葉掘りは聞きにくいものです。死ぬのを待っていると思われそうで。

最低限これだけはしておいてと思うのは、親は連絡先のリストを作っておくことです。

特に口座のある金融機関の一覧表は必須かと思います。「取引先の金融機関はここだけだ」と判るリストです。これがないと子供は途方に暮れます。金融機関名、支店名(大事です)、口座番号、印鑑、電話番号などが入っていると良いですね。

保険会社は絶対忘れないようにしましょう。銀行、証券などのお金は、例え10年後でも、後からあると知った場合、手続きは多少面倒になりますがもらえます。しかし、生命保険の保険金には時効があります。請求期限はたったの3年です。期限を過ぎたら貰えなくなります。

次回からは、米国市場や中国市場など個別の市場のお話です。まずは米国市場から。

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株式(27)外国株式 米国株式 リターンは米国に・リスクは世界で

米国で何か問題が起こると、それに関連した近隣諸国の方が、大きな影響を受ける印象があります。そして、良いことがあった時には米国に利益が。これは、米ドルが基軸通貨である事と米国が消費大国である事が関係しています。

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株式(25)日本人の投資行動と国内・海外株式の長期推移

日本人に株式投資が広まったのは、1985年のNTT上場からだと言われています。NTT上場の年から5年ほどは良かったのですが、その後はバブルが崩壊し、このバブル崩壊以降の値動きこそが、他国と違い日本人が投資に関心を持たなかった理由だと思います。

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