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株式(21)株式公開買付け(TOB)とは?目的は議決権と経営権

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前回は、保有株式がTOBに掛けられたらどうしたら良いのかというお話でした。今回は、誰がなぜTOBを行うのかというお話です。

売出が、大株主が大量の持ち株を市場外で売却するのに対して、株式公開買付け(TOB)は、大量の株式を市場外で不特定多数の株主から買い集めます。

株式公開買付け(TOB)主催者の目的は様々ですが、株式公開買付け(TOB)の目的は主に経営権の取得です

TOBは、対象銘柄の株主の権利である議決権を取得し、経営権を取得する目的で行われる事がほとんどです。経営権を取得する目的は様々で、友好的な会社が救済に入るためや、敵対的に会社を乗っ取るため、親会社による完全子会社化、経営陣による買収などがあります。

株式会社は株主がオーナーであり、株主総会が最高の意思決定機関になります。その下に会社を経営するために雇われた、社長をはじめとする取締役などの経営陣がいます。オーナー社長の場合は、経営者自らが大株主という事です。

通常の経営判断は、社長や取締役会などで決議しますが、会社の行く末に関わるような重要な事項は、取締役会などで提案を出し、株主総会で決議をするなどの手続きが必要になってきます。

具体的には、経営者や取締役を選任したり、会社の合併や解散、利益の配当などは株主総会で決議します。もちろん、一定の議決権を持った株主はこれらの提案も出来ます。株主総会では、これらを議決権による多数決で決定しますので、経営権を取得したいTOB主催者は、必要な議決権の数をTOBで集めます。

具体的に、この重要な事案を提案したり、決議したり拒否したりするために必要な議決権の数の主だったところは、

議決権の1/100以上 株主総会で議題を提案する権利 他。
議決権の3/100以上 会計帳簿の閲覧を要求する権利。株主総会の招集を要求する権利。会社の役員の解任を要求する権利。
議決権の10/100以上 会社解散の提起をする権利。
発行済み株式数の20%以上 連結対象化(関連会社)
一定以上の議決権 累積投票による取締役の選任。
議決権の1/3超 決定に2/3超必要な特別決議の拒否権。
議決権の過半数以上(普通決議) 取締役、会計監査人の選任、解任。監査役の選任。その他諸々の採決。
議決権の2/3以上(特別決議) 会社の解散、合併など。監査役の解任。定款の変更など。
議決権の90% 特別支配株主。
議決権の100% 完全子会社化。

このようなところがあります。

TOBの上限や下限が決まっている場合は、この辺りが目安になります。

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TOBをかける人達  敵対的?友好的?経営陣?意外なことに!

TOBには大きく分けて現経営陣に対して、敵対的なTOBと友好的なTOBがあります。一見、友好的なTOBの方が株価に良さそうな気がしますが、意外なことに敵対的なTOBの方がTOB価格が吊り上がる傾向にあります。

TOB自体は、直近の株価よりもかなり高い株価で募集してくれる事が多いです。私のイメージでは、幅はありますがTOB価格の発表日の終値から、20%~80%近く高いイメージがあります。多くの場合は嬉しいお話なのですが、現経営陣の対応次第では、既存株主にとっては納得のいかない事になることも多くあります。

TOBをかける主催者の属性別に見ていきます。

敵対的TOB  現経営陣と合意なしにTOBを仕掛けます

敵対的TOBを仕掛けられた場合、現経営陣が取れる買収防衛策がいくつかあります。既存株主にとって非常に有難い方法もあれば、憤懣やる方ない方法もあります。事が事だけに、良いにしろ悪いにしろ振れ幅は非常に大きくなると思ってください。いくつかの方法があります。

既存株主に良い方法

ホワイトナイト

敵対的買収者よりも高く買い取ってくれる者(ホワイトナイト)を募るという方法です。実現すれば敵対的買収者とホワイトナイトでTOB価格を競う事になるので既存株主にとっては嬉しい戦略です。難しい所は、買収される企業にそれなりの魅力か人脈がないと、ホワイトナイトは現れないという所です。

既存株主に悪い方法

ポイズンピル

既存の特定の株主に、事前に新株予約券を発行しておくという手法です。敵対的買収者が株式を買い集めても、大量の新株予約券を権利行使されると、持株比率がまた下げられてしまう事になります。しかし、1株の価値も著しく下がってしまうため、敵対的買収者だけでなく既存の株主にも毒薬になります。すると私(株主)は憤懣やる方ない気持ちになります。どちらかというと、「これがあるぞ。」と見せかけて買収する気を起こさせないための防衛策です。

クラウンジュエル(焦土作戦)

焦土作戦・・・恐ろしい作戦名ですね。直訳すると「王冠の宝石」なのに焦土? 買収の目的になるような魅力ある資産や事業を別の会社に移してしまう作戦です。これも既存の株主は置いてきぼりな感じです。最終手段に近い方法です。

ゴールデンパラシュート

取締役の退職金の額を高額に設定しておきます。会社を乗っ取っても大金を持っていかれてしまうということです。これも、「これがあるぞ。」と見せかけて買収する気を起こさせないための防衛策です。

その他の買収防衛策

パックマンディフェンス

日本では、会社法(308条1項、施行規則67条1項)で、敵対的買収を仕掛けられた時に、相手の株式の25%超を取得していれば、相手の取得した自社株式の議決権を無効化出来るという法律があります。この法律に則って、買収を仕掛けて来た相手の株式を取得し返すというディフェンスです。それなりの資金力が必要な事と、そもそも相手企業が上場していなければ非常に困難です。

友好的TOB  友好的なのは、買収する側とされる側であって、投資家(私たち)とではありません

買収する側とされる側で話は合意出来ているので、投資家に配慮する余裕もありますが、競って自陣に取り込む必要も無いため、投資家が納得いかない結果になる事もしばしばあります。実はこの時の対応で、その会社の親会社や経営陣が、株主をどの程度大切に思っているのかが垣間見えます。目の前にお金がぶら下がっているため、性根が隠しきれないタイミングになるのだと思います。検索しても出てこない、その関連銘柄への投資の際の情報になります。

親会社による完全子会社化

TOB価格に納得がいっているのなら問題ないのですが、完全子会社化はTOBの後、上場廃止になり株式は強制的に売却させられてしまうこともあります。「そんなこと出来るの?」と思いますよね。「売らない人だっているでしょう」と。

それには、スクイーズアウト(少数株主排除)というルールがあり、大株主が会社の経営から少数の株主を排除することが出来ます。スクイーズアウトにはいくつかの種類があります。

例えば、2/3以上の大株主になると、株式併合を株主総会の特別決議で決める事が出来ます。1万株を1株に併合すると、10万株保有している株主は10株になりますが、1,000株保有している株主は0.1株の端株になり議決権を失います。

また、90%以上の大株主になると特別支配株主となり、株式等売渡請求を取締役会で決議するだけで、他の株主の株式を強制的に買取る事が出来ます。

こういった手法を駆使して完全子会社化します。

MBO(経営陣による経営権の取得)

親会社による完全子会社化とほぼ同じような手法を取り、経営陣が会社を買収します。「議決権をすべて持つ事で、いちいち株主総会の承認を受ける事なく経営ができるようになる」というのがMBOをする言い分です。しかし、会社を経営しているのも現経営陣、買う側も現経営陣です。投資家にとって納得のいかないTOBになることもしばしばあります。

次回もTOBで、ディスカウントTOBについてです。また、親会社による子会社化とMBOで、やりきれない気持ちになったお話も載せています。

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