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株式(10)新規公開株(IPO)想定価格→仮条件決定の仕組み

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前回は、銘柄選定(トップダウンアプローチ・ボトムアップアプローチ・スクリーニング)でした。

新規公開株(IPO)の公募価格決定の仕組み

株式は新規公開の手続きをした後、上場し取引所での取引きが始まります。主幹事証券と数年かけて上場準備を進めて来ますが、準備が整い取引所に上場承認申請を出してからは、約1ヵ月で上場になります。新株の他に既存の大株主の持株もこの時に売りに出されます。既存の大株主とは、オーナー社長や役員、親会社、ベンチャーキャピタルなどです。ベンチャーキャピタルとは、将来有望なベンチャー企業に資金を提供し株主になります。その後、上場までの手助けやアドバイスをし、上場した暁には持株を売却して莫大な利益を得る会社です。

既存の株主や経営者は、公募価格をなるべく高くしたいものです。その方が沢山の売却利益や事業資金が得られるからです。一方で新規公開株(IPO)は公募で買った人が儲かり、初値(セカンダリー)で買った人が儲かって初めて成功と言われています。つまり、良い評判を得て、後々の資金調達を円滑に進めるためには、公募価格をある程度低く抑える必要があります。そのせめぎ合いの中で公募価格が決まって来るのですが、その決まり方を知っているとIPOに申し込む時の参考になるので説明致します。

登場する用語を幾つか先に説明します。

主幹事証券会社     会社が新規公開する時や公募株を募集する時に、幹事として証券会社がお手伝いをします。複数の幹事証券会社の代表が主幹事証券会社です。幹事としての仕事をほぼ一手に引き受けるため、幹事として高い能力が必要ですが報酬も幹事証券とは別格に違います。

想定価格     目論見書などを作成する時の基準となる株価です。

仮条件         ブックビルディングを申し込む時の価格の範囲を指します。仮条件上限1,260円、仮条件下限1,100円と言ったら、ブックビルディングは1,100円から1,260円の間で申し込む事になります。

ブックビルディング     新規公開株の公募価格を決める為に行われる需要予測です。これに参加する事がそのまま新規公開株の抽選の申込みになります。略してブックビル・ブック・BBなどとも言います。

公募価格      新規公開株を購入する際の価格です。

機関投資家     銀行や保険会社などの金融会社をはじめとする大口投資家。

想定価格と仮条件の決め方と関係 これが極めて大切です

まず、主幹事証券会社が想定価格を決めます。目論見書などを作成する時の基準となる株価です。決め方は多くの場合、類似会社のPERを参考に出した価格から、概ね20%~30%ディスカウントした価格で決まります。この想定価格を元に目論見書を作成し、上場承認を得ます。この価格で計算しましたということで、この想定価格は目論見書にも記載されています。

想定価格が決まりましたら、今度はその想定価格を元に仮条件を決めにいきます。まず、新規公開会社の経営陣が機関投資家に、作成された目論見書などを使い、自社のプレゼンテーションを行います。株価や需要についての意見を聴くためです。これをロードショーと言うそうです。

想定価格と機関投資家の意見を参考にして、主幹事証券会社と新規公開会社で仮条件を決めます。

ここまでをまとめます。

  1. 主幹事証券会社が、類似会社と比較して20%~30%安い株価で想定価格を決める。
  2. 主幹事証券会社と新規公開会社で、想定価格と機関投資家の意見を参考に仮条件を決める。

です。つまり、想定価格が適正であり、仮条件がすんなり決まっているならば、すでに上場している類似会社と比較して新規公開株の公募価格は20%~30%安いと言う事になります。新規公開株の勝率が高いのは、この辺りが起因するのでしょう。

ここからが本題です。想定価格も仮条件も、目論見書や訂正事項に記載されているので、我々はどちらの価格も知ることが出来ます。ここからは予想も入りますし一概には言えませんが、主幹事証券会社(新規公開会社の意向も若干含む)の出した想定価格と機関投資家のコンセンサスが一致していれば、仮条件下限<想定価格<仮条件上限 となるのではないでしょうか。

機関投資家が「想定価格は割高だ」と考えていた場合、機関投資家の意見に引っ張られて仮条件上限が想定価格寄りに、若しくは 仮条件上限<想定価格 となるのではないでしょうか。

機関投資家が「想定価格は割安だ」と考えていた場合、仮条件下限が想定価格寄りに、若しくは 想定価格<仮条件下限 となるのではないでしょうか。

主幹事証券会社も機関投資家も分析のプロです。

しかし、想定価格は主幹事証券会社が決めるものですが、自由に決められる訳ではなく、一定の条件のもとに決められます。来期以降のあまりに高い成長性や不透明感などは想定価格には折り込めていないのではないかと思います。

一方、機関投資家は、プレゼンを聞き自由に株価を予測出来ます。

この違いが、想定価格と仮条件の位置関係に現れていると思います。 上場後の初値はさらに価格差が開くと思います。

想定価格≦仮条件下限の時には強気に、想定価格≧仮条件上限の時には少し警戒してブックビルディングに挑むと良いかも知れません。

次回も、新規公開株(IPO)でブックビルからセカンダリー市場までのお話です。いよいよ我々個人投資家の出番ですね。

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