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米国の定期的に発表される重要な経済指標の予定を表にしました。
一番重要なのが米国雇用統計です。米国雇用統計の結果を受けて、米国の経済政策や金融政策、その他諸々の景気対策が動きだすからです。雇用統計には膨大なデータがありますが、特に非農業部門雇用者数と失業率が注目されています。ここだけは、おさえておきましょう。毎月第一金曜日です。
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経済指標を見る時には、各種経済指標は国の現状を現すものであり、それを受けての経済政策の目的は、「景気をコントロールするため」と考えればシンプルです。
下の表中の指標は、FOMC政策金利発表以外は、基本的には状況の報告になります。この報告を受けて政府(議会)や中央銀行(FRB)の政策が動きます。
FRBの政策の1番大きなものが、FOMC政策金利発表になります。FOMCは、各種経済指標などから金利政策を決める訳ですが、その時に最も重要視されるのが、雇用統計とGDPになるため、FOMC政策金利発表・雇用統計・GDPが最重要指標になります。
定期的に発表される指標(月の中での日付順 )
すべて重要な経済指標だとは思いますが、★★★は見ていないと許されない指標(笑)。★★は見ていて当たり前の指標。★や★なし まで見ていると、市況解説などがすんなり読めるどころか、市況解説や経済レポートなどを見て「いや、これ違うよ」などと自分の意見を持てるようになると思います。
経済指標 | 発表機関 | 毎月/他 | 時間 |
ISM製造業景況指数 | 供給管理協会 | 第1営業日 | サマー23:00 他24:00 |
★★ GDPの景気転換の先行指標。製造業の役員を対象にした、前月比で景気が良いか悪いかのアンケート調査。指標の先行性は、NY連銀製造業景況感指数→フィラデルフィア連銀製造業景況感指数→ISM製造業景況指数→GDP(国内総生産)と続きます。 | |||
ISM非製造業景況指数 | 供給管理協会 | 第3営業日 | サマー23:00 他24:00 |
★★ ISM製造業景況指数と同様に重要な指標です。非製造業とはサービス業などの事です。 | |||
ADP雇用統計 | ADP社 | 雇用統計の2日前 | サマー21:15 他22:15 |
★★ ADP社は給与計算等の超大手代行会社です。自社の顧客を対象に雇用者数を調査した結果なので、雇用統計(非農業部門雇用者数)の先行指標になります。最重要指標の先行指標なので重要度も高いです。 | |||
雇用統計(非農業部門雇用者数) | 労働省労働統計局 | 第1金曜日 | サマー21:30 他22:30 |
★★★ 最重要指標です。雇用統計の膨大なデータの中でも、特に重要とされている項目です。経営者、農業従事者以外の雇用者数です。僅差ですが、失業率よりも信頼度は高いと言われています。指標の先行性は、ADP雇用統計→雇用統計(非農業部門雇用者数)です。 | |||
雇用統計(失業率) | 労働省労働統計局 | 第1金曜日 | サマー21:30 他22:30 |
★★★ 最重要指標です。非農業部門雇用者数と伴に、特に注目されている項目です。米国の失業者とは、16才以上の軍事就業者を除いた、働く気があるが仕事のない人です。働く気のない人は含まれません。 | |||
貿易収支 | 商務省調査局 | 20日頃 | サマー21:30 他22:30 |
★なし 輸出額から輸入額を引いた金額です。米国は基軸通貨国という事もあり、ずっと赤字が続いています。赤字の増減で判断されます。 | |||
中古住宅販売成約指数 | 全米不動産協会 | 下旬 | サマー23:00 他24:00 |
★ 中古住宅販売保留指数とも言う。「売買契約は済んだが引渡しはまだ」の中古物件数です。契約から引渡しまでに1~2ヵ月掛かる事から中古住宅販売件数の先行指標になります。 | |||
ミシガン大学消費者信頼感指数 | ミシガン大学 | 速報 第2or第3金曜日 確報 第4金曜日 | サマー23:00 他24:00 |
★ 消費マインドについて「楽観」か「悲観」か答える電話アンケートです。速報値は時々話題になります。速報値と確定値はアンケートの件数が違います。消費者信頼感指数(CCI)の先行指標になります。 | |||
小売売上高 | 商務省調査局 | 第2週 | サマー21:30 他22:30 |
★★ 百貨店やスーパーなどの小売り・サービス業の売上高です。個人消費の動向を確認出来ます。特に感謝祭翌日のブラックフライデーを含む11月と、クリスマス商戦を含む12月の集計が出る、12月と1月の数値は注目されています。 | |||
住宅着工件数 | 商務省調査局 | 第3週 | サマー21:30 他22:30 |
★なし 着工された新築住宅の件数(除く公共住宅)。新築住宅販売件数の先行指標になります。新築なので住宅関連の他に、建設資材や家電・家具など、個人消費の動向を見る指標にもなります。 | |||
建設許可件数 | 商務省調査局 | 第3週 | サマー21:30 他22:30 |
★なし 着工前に建設許可が必要な地域で、建設が許可された件数です。住宅着工件数と同日発表になりますが、今月許可された物件が、今後の着工件数になっていくので先行指標になります。指標の先行性は、建設許可件数→住宅着工件数→中古住宅販売成約指数・新築住宅販売件数→中古住宅販売件数です。 | |||
生産者物価指数(PPI) | 労働省労働統計局 | 11日頃 | サマー21:30 他22:30 |
★★ 米国の製造業者の出荷する価格の物価指数です。総合指数と、価格変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数があり、コア指数の方が重要視されています。PPIとCPIの違い | |||
消費者物価指数(CPI) | 労働省労働統計局 | 13日頃 | サマー21:30 他22:30 |
★★ 米国の小売り・サービスの販売価格の物価指数です。サービスが加わるため、よりインフレ動向を掴みやすくなります。生産者物価指数(PPI)同様、総合指数とコア指数があり、コア指数の方が重要視されています。 | |||
鉱工業生産指数(IIP) | FRB(連邦準備制度理事会) | 14~17日 | サマー22:15 他23:15 |
★★ 鉱業・製造業・電気・ガスの生産動向の指数です。農業・建設・サービスは含まれません。四半期毎発表のGDPの鉱工業部門の指数で、毎月発表される事からGDPの先行指標になります。景気動向を図る指標です。 | |||
設備稼働率 | FRB(連邦準備制度理事会) | 14~17日 | サマー22:15 他23:15 |
★★ 設備の生産能力に対する実際の生産量です。鉱工業生産指数(IIP) と同日に発表されます。80%を越えて来ると、設備投資→景気拡大の期待がされます。設備投資とインフレの先行指標になります。稼働率と稼働率指数を混同しないように。 | |||
対米証券投資 | 財務省 | 15日頃 | サマー22:00 他23:00 |
★なし 海外からの米国への証券投資の額です。 | |||
NY連銀製造業景気指数 | NY連銀 | 15日頃 | サマー21:30 他22:30 |
★なし NYの製造業を対象にしたアンケート調査の結果を指数にしたもの。指標の先行性は、NY連銀製造業景気指数→フィラデルフィア連銀製造業景況指数→ISM製造業景況指数→GDP(国内総生産)と続きます。 | |||
フィラデルフィア連銀製造業景況指数 | フィラデルフィア連銀 | 第三木曜日 | サマー23:00 他24:00 |
★ ペンシルベニア州、ニュージャージー州、デラウェア州の製造業を対象にしたアンケート調査の結果を指数にしたもの。 | |||
景気先行指数 | 全米産業審議会 | 第3週 | サマー23:00 他24:00 |
★なし 景気に先行する10種類の指標を合成して作られる景気総合指数です。同日に、景気に一致して動く4種類の指標で作られる景気一致指数、景気に遅れて動く7種類の指標で作られる景気遅行指数が発表されますが、一般に話題になる事があるのは、景気先行指数です。景気のピークに対して10カ月、ボトムに対して4カ月の先行性があると言われています。 | |||
GDP(国内総生産) | 商務省経済分析局 | 速報値 1月4月7月10月の21~30日 | サマー21:30 他22:30 |
★★★ 最重要指標です。米国内で新たに生産された物やサービスの付加価値の合計金額。米国民の賃金の元になるお金です。GDPの額が国の経済規模を表し、GDPの伸び率は国の経済成長率を表します。速報値が最重要ですが、改定値が2月5月8月11月に発表、確定値が3月6月9月12月に発表されます。 | |||
中古住宅販売件数 | 全米不動産協会 | 25日頃 | サマー23:00 他24:00 |
★なし 中古住宅の販売・所有権移転が済んだ件数。米国では中古住宅の市場規模は新築住宅よりも遥かに大きいです。 | |||
新築住宅販売件数 | 商務省経済分析局 | 月末頃 | サマー23:00 他24:00 |
★なし 新築住宅(土地付き)の販売契約成立時点での集計になるため、所有権移転が済んだ件数の中古住宅販売件数よりも1~2カ月先行する指標になります。中古住宅販売成約指数と同じ時点での集計になります。 | |||
耐久財受注 | 商務省調査局 | 22日頃 | サマー21:30 他22:30 |
★ 自動車・航空機・家電・家具などの3年以上の使用に耐えうる消費財の受注額です。非国防資本財受注が重要です。耐久財は通常、受注→生産となるため、生産や設備投資に先行します。 | |||
消費者信頼感指数(CCI) | 全米産業審議会 | 最終火曜日 | サマー23:00 他24:00 |
★★ 個人に対して、雇用・景況感などについて、楽観か悲観かのアンケート調査の結果を指数化したものです。サンプル数が5,000世帯とミシガン大学消費者信頼感指数の10倍です。全米産業審議会は民間の経済研究所です。金利や株価に対して6カ月ほどの先行性があると言われています。 | |||
ベージュブック | FRB(連邦準備制度理事会) | FOMCの2週間前 | サマー03:00 他04:00 |
★★ 連邦準備銀行12行が各地区の経済状況を、FOMCのために資料としてまとめた報告書です。 | |||
FOMC政策金利発表 | FOMC(連邦公開市場委員会) | 6週間毎の火曜日 | サマー03:15 他04:15 |
★★★ 最重要指標です。米国の現状の経済や景気動向の分析・今後の政策や方針が話し合われた後、金利政策が決まり政策金利が発表されます。概ね2日間開催されます。この表の中で、FOMC政策金利発表以外は全て、基本的には状況の報告ですが、FOMC政策金利発表だけは行動の報告になります。 | |||
FOMC議事録 | FOMC(連邦公開市場委員会) | FOMC政策金利発表の3週間後 | サマー03:00 他04:00 |
★ FOMCの議事内容が公表されます。 | |||
FRB議長議会証言 | FRB(連邦準備制度理事会) | 2月・7月 | |
FRB>(含む)FOMCなので、FRB議長が米国中央銀行のトップになります。FRB議長が半年に1度、上院下院 両院の議会で行う証言。内容は、FRBの経済見通しや政策方針です。元々の目的は、政府が失業とインフレ抑制の政策目標を達成するための、FRBの方針の説明です。雇用統計が重視される理由がわかりますね。 | |||
為替報告書 | 財務省 | 4月・10月 | |
★★ 貿易相手国が為替操作をしていないか、などの調査をし、連邦議会に提出する報告書。為替操作をしていると認定された国は是正しないと「為替操作国」として制裁が加えられます。 |
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次回も、米国株式 軍事と原油価格についてです。
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目次
株式(29)外国株式 米国株式 軍事と原油価格は要注意
トランプ大統領は「世界の警察官」の地位を降りると言っています。また、今回の好景気は、シェール革命からスタートしています。あらゆるものが証券化されている現代、何が何処に飛び火するかわかりません。軍事と原油、この2つはテールリスクになり得ます。
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株式(27)外国株式 米国株式 リターンは米国に・リスクは世界で
米国で何か問題が起こると、それに関連した近隣諸国の方が、大きな影響を受ける印象があります。そして、良いことがあった時には米国に利益が。これは、米ドルが基軸通貨である事と米国が消費大国である事が関係しています。