投資信託

投信(15)外国債券型投信 魅力的だが低金利で難しい時代

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投資をする際、投資家は色々な事をしなければなりません。金融商品や相場の勉強。投資対象の選択。分散投資と管理。やる事はいっぱいです。投資信託は、その手助けをしてくれる商品で、投資信託を使う事によって色々な手間を省く事が出来ます。

外国債券と外債ファンドの発行体による特徴の違い

投資信託の特徴は、組み入れられている資産の特徴が反映されます。そして、外国債券は発行体によって大きく特徴が違います。

外国債券は、国債(ソブリン債)と社債(事業債)で特徴が違います。ソブリン債というのは国債の事です。

国債は先進国と新興国(エマージング)で特徴が違います。

社債は高格付け債とハイイールド(低格付け・ジャンク)債で特徴が違います。

さらに、それぞれ長期債と短期債で特徴が違います。

その他に、通貨選択型の投信もあります。

それぞれの特徴を見ていきます。

先進国国債 発行体リスクの低い資産

債券の特徴としては、全体的にデフォルト(破綻)リスクの低い国々の債券です。デフォルトをすると格付け会社の先進国の定義から外されてしまうようです。また、流動性が高いのも特徴です。

米国を始め、カナダ・ヨーロッパ各国・オーストラリア・ニュージーランド、日本などの国債が、先進国の国債と呼ばれています。

先進国国債をパックにした投資信託の場合、国別の組み入れ比率はファンドによってまちまちです。ファンドによっては、米国国債の組み入れ比率が非常に高い(40%~60%位)ものもあるので、組み入れ比率の確認は必要です。

米国国債ファンドやオーストラリア国債ファンドなどの、単一国の国債ファンドは、分散投資の「デフォルトに備え発行体を分散する」という1番大きなメリットがありません。

そのためストレートに、米国国債やオーストラリア国債を購入した方が良い場合もあります。ストレート債には、年限を選べる事や、償還した時に額面金額になるとわかっている事、金利変動がダイレクトに単価に反映するなどのメリットがあります。

逆に、毎月分配という選択肢や少額で購入出来る、リバランスして年限の調整をしてくれるなどのメリットはストレート債にはありません。

新興国(エマージング)国債 カントリーリスクの確認が必要

新興国の中から金利、デフォルトリスクなどを考慮して選ばれた国の国債です。全体的に先進国よりも金利、デフォルトリスクともに高めの国々です。

BRICs、インドネシア、メキシコ、トルコ、南米各国などの国債が新興国の国債ファンドに組み入れられています。

トルコ国債やメキシコ国債など、ストレートに国債も購入出来ますが、相対取引のため、単価に含まれる目に見えない手数料が、思いの外、高かったりします。

また、株式運用と違い債券運用は、1銘柄だけ急騰するものを狙う訳ではありません。高利回りを狙いつつデフォルトリスクを抑えるものです。債券運用の場合は、分散投資をし過ぎるデメリットは少なく、先進国と違いデフォルトリスクが高い新興国国債は、数ヵ国に分散投資する投資信託で運用するメリットは大きいです。

新興国国債は、100円からの少額投資が出来、分散投資、銘柄管理のメリットもある投資信託での運用をお勧めします。

高格付け社債 破綻は非常に珍しい事だが時々ある

高格付け債には、国際的な金融機関や高格付けの国の政府系金融機関、格付けの高い事業債などがあります。格付けがBBB-以上の投資適格債がこれにあたります。

例を挙げると、世界銀行(国際的な金融機関)、スウェーデン輸出信用銀行(政府系金融機関)、トヨタモーターファイナンス(格付けの高い事業債)などです。

過去に破綻して社会問題になった企業は、エンロンやリーマンブラザーズなどがあります。

信用力は十分に高いのですが、先進国の国債に比べると流動性が圧倒的に低く、途中売却は証券会社との相対取引になるため、買取価格は思いのほか安い事があります。

ほぼ、幹事として引き受けた証券会社でしか引き取ってもらえませんし、追加で購入したくても、既発債として購入出来る機会もあるかわかりません。

償還まで持つのならばストレート債もお勧めです。しかし、途中売却するようならば、投資信託の方が良いかも知れません。

ハイイールド社債(低格付け債・ジャンク債)

格付けでBB+以下の低格付けの事業債をハイイールド債とかジャンク債と言います。

ストレート債はあまり販売していないと思います。

債券は、主に金利の変動によって債券価格が上下するものですが、低格付け債は景気の良し悪しによっても同様に債券価格が上下します。景気が悪くなると倒産の可能性が高まるためで、高格付け債にはあまり見られない特徴です。

「景気回復→金利上昇」となった時に通常の債券は「金利上昇→値下がり」となるのに対して、ハイイールド債は「景気回復→格付け上昇→値上がり」となる事があります。

この特徴により、ハイイールド債は金利上昇局面でも投資妙味が生まれます。同じく格付けの低い新興国国債とも違う特徴です。

新興国国債ファンドは、投資出来る国の数が限られていますが、低格付けの銘柄の数はたくさんあるため、ハイイールド債券ファンドの方がより、「専門家の運用」「分散投資」「銘柄管理」などの投資信託のメリットが得られやすく投資信託での投資がお勧めです。

 

長期債と短期債

金利が変動した時の債券の値動きの大きさは、残存期間(正確にはデュレーション)で決まります。残存期間7年の債券は、残存期間1年の債券の約7倍の値動きをします。7年分の金利が一斉に変動するからです。債券型投信を選ぶ時には平均残存期間(デュレーション)の確認は大切です。

残存期間とデュレーションの違いはこちら。

 

通貨選択型投信のメリットと注意点

通貨選択型投信は、組入れ債券はそのままに、通貨のみを為替予約(為替ヘッジ)を使って切り替えられるようにした投資信託です。(債券型投信だけでなく、株式型投信やリート型投信にもあります。)

投資対象資産と通貨を、別々に選べる事がメリットになります。

リスクは、組み入れた債券の価格変動リスクと、選択した通貨の為替変動リスクになります。

国債ファンドなどと比べると、組み入れ債券と通貨が別々の信用リスクになる点が相違点になります。

同じ通貨コースでも、ファンドによって金利が大きく違う事がありますが、それは組み入れられている債券の金利(信用リスク)の違いで、運用力の違いではない事がほとんどです。注意して下さい。

金利は概算ですが、(選択した通貨の短期金利-組入れ債券の通貨の短期金利)+組み入れた債券の金利になります。

(選択した通貨の短期金利-組入れ債券の通貨の短期金利)が為替の予約(ヘッジ)コストです。

あまり気にしなくて良いと思いますが、通貨によっては為替予約を組めない国もあり、その場合は、NDF(ノン デリバラブル フォワード)取引が利用され、為替予約コストが少し割高になる事があります。

 

外国債券型投信の魅力と注意点と選び方

株式であれば、個別銘柄には選んだ銘柄が突発的に暴騰するというロマンがあり、分散投資をする投資信託ではそのロマンが失くなってしまいます。

しかし、債券には元々そんなロマンはないので、分散投資のデメリットがほとんどありません。デフォルトリスクを分散出来るというメリットだけが際立ちます。

一方で、金利低下局面では債券価格は値上がりするものですが、投資信託はリバランスしてしまうため、ストレート債ほど債券価格の値上がり益は得られない仕組みになっています。

デフォルリスクの高い低格付け債への投資は、投資信託が良いと思いますが、デフォルトリスクの低い高格付け債への投資は、ストレート債も考慮して良いと思います。

今、先進国の金利は最低水準です。債券型投信は魅力的ですが、金利上昇局面に弱く、選ぶのが難しい時代でもあると思います。

安全性を考慮して、高格付けの債券を選ぶならば短期債のファンドをお勧めします。

高金利を狙って、長期債を選ぶならば業績の回復によって値上がり期待のある低格付け債のファンドをお勧めします。通貨選択型投信もありだと思います。

しかし、高格付けの長期債ファンドだけは金利上昇リスクがあるため、選ぶべきでないように思います。

これらを踏まえると、金利上昇局面では、FXという選択肢もかなり有効で、私としてはお勧めしたいと思います。

 

外国債券型投信まとめ 一覧表にしてみました

一覧表にしてみました。

先進国国債ファンド
高格付け 低金利。発行体リスクは少ないが、金利上昇リスクは注意が必要。
新興国(エマージング)国債ファンド
低格付け 比較的に高金利。何かしら大きめのカントリーリスクを抱えている国が多く、デフォルトリスクはそれなりにある。しかし抱えているリスクが縮小や解消された場合、格付け上昇→金利低下→債券価格上昇という期待もある。
高格付け債ファンド
高格付け 低金利。一般的にはBBB-以上の債券が投資対象。政府系金融機関債や事業債は、先進国国債よりは金利が高いため、金利アップを狙い、組み入れ債券を先進国国債+政府系金融機関債・事業債として組まれる投資信託がこれにあたる。
ハイイールド(低格付け・ジャンク)債ファンド
低格付け 高金利。一般的にはBB+以下の事業債が投資対象。個別にはデフォルトリスクも大きいが、分散投資する投資信託のメリットが大きい。業績が回復すると、格付け上昇→金利低下→債券価格上昇という期待もある。低金利、景気回復という時代にはマッチしている。
長期債と短期債
長期債は金利は高めだが、金利変動による値動きは大きい。短期債は金利は低めだが金利変動による値動きは小さい。ただし、現在、高格付け債は、長期債でも非常に低金利。
通貨選択型投信
組入れ債券はそのままに、通貨だけを切り替えられる投資信託。使い勝手は良いが、長期保有を考えるならば組み入れ資産をしっかり選ぶ。

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次回は、積立て投信です。

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投信(16)上場投信  ETFの仕組みと投資信託との違い

ETFとはどういうもので、投資信託とは何が違うのか? 対象指数はどんなものがあるのか。上場している事によって、取扱い金融機関、価格の決まり方、売買出来るタイミングなどがどのように違うのか などを説明します。

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投信(14)海外株式投信の選び方 米国・中国の組入れ比率に注意

国名は誰でも知っているのに、詳しい事は何も知らない国って多いですよね。そういう個別銘柄の情報収集の難しそうな国の取引こそ、投資信託の「専門家が運用します」というメリットが活きてきます。

別ページに掲載している、外国債券型投信の簡単な紹介文も貼り付けておきます。

外国債券型投信

特徴

債券の性格上、長期保有すると、株式投信に比べて格段に安定性は増します。対象国のカントリーリスク、為替の円高、金利の上昇が最大のリスク要因になる。

投資対象地域は何処の国なのか。債券の種類は、国債?事業債?ハイイールド債?。組み入れている債券は、長期債なのか短期債なのか。条件によって性格は大きく異なる。毎月分配型や、為替のヘッジ有り無しを選べる場合もある。

メリット

分散投資するのでデフォルトリスクに備えられる。インカムゲインをメインに据えた運用が出来る。

デメリット

ストレート債に比べて、金利低下による利益を享受しにくい。信託報酬が意外に高い場合がある。

選別のポイント

地域、種類、期間による性格の違いをしっかり理解する。

 

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