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為替とFX(11)有事の円買いはなぜ起こる?ロシアのウクライナ侵攻に伴う円安は?

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株式でもFXでも、投資をしている人ならば1度は思った事があるのではないでしょうか。通常、有事の際には安全資産が買われるはずなのに、なぜ米ドルに対しても円が買われるのかと。日本円以外の通貨は、どの通貨も有事の際には、米ドルに対して通貨安になります。日本円だけ円高になります。

私も過去に、理屈から考えて円安を前提に投資をし、「何で?意味がわかんない。やってられない!」という結果になった事が何度もあります。繰り返します、何度もあります!

その度に理由を検索するのですが、しっくり来る説明には中々出会えませんでした。そんな中で、私が納得出来た理屈をご紹介します。

良くある有事の円買いの理由

有事の円買いの説明の中で、他の通貨にはともかく、対米ドルとしてはピンと来ないと思える説明がよくあります。それが1番の理由、或いは、大きな理由と説明されると納得出来ません。

例えば、日本の対外純資産の大きさです。有事の際に急増する訳ではありません。ずっとあります。そんなものが有事の際に、あのアメリカの国力を差し置いて買われる理由になるとは思えません。

状況を選びますが、有事の日米に与える影響の大きさが理由として挙げられる事もあります。しかし、地政学的に近い北朝鮮や中国、もっと言えば東日本大震災の時も円高になっていました。たまたまアメリカの方が関係の深い理由、例えば、米国対○○の戦争であったとしても納得出来ません。そもそもアメリカは、経済を無視した戦争など余程の事がない限りしません。

納得出来る理由は日本の低金利と円キャリートレード

キャリートレードとは、投資対象とは異なる通貨でお金を借りて投資をする事です。通常は、借入金利を抑えるために金利の低い通貨でお金を借ります。

例えば、日本円で資金を調達して、米国株やブラジル株を買う事です。

日本は長らくトップクラスの低金利国です。どうかするとマイナス金利になったりします。

そして、米国や中国には見劣りしますが、ず~っと世界的な経済大国です。

安全性と低金利をずっと兼ね備えて来た国です(低金利は良い事ではありませんが)。通貨取引量もあります。しかもデフレで、通貨の価値が下がりにくいと来ています。

日本円はキャリートレードでお金を借りるには、たいへん優秀な通貨です。

近年は、投資による為替取引への影響 が非常に大きくなっています。貿易などで実際にものとお金を交換するための為替取引よりも大きくなっています。

重要 為替取引はフローからストックへ

つまり、通常時、円でお金を借りて他国に投資する円キャリートレードを大量に抱えているという事です。それが、有事の際には解消されて円高を引き起こし、ほとぼりが覚めると再構築されます。

「円でお金を借りて他国に投資する」は円売り(円安)要因です。有事の際にはそれが一気に解消されるため、円買い(円高)要因になります。

有事の際の円高要因として、私にはこれが1番しっくり来る説明だったのでご紹介しておきました。

ロシアのウクライナ侵攻に伴う円安に当て嵌めると

さて、この考え方を今回の円安に当て嵌めて考えてみます。

ロシアのウクライナ侵攻は2/21辺りから現実味を帯びてきて、2/24に侵攻を開始しました。

NYダウ、日経平均、ドル/円のそれぞれの値動きは以下の通りです。

NYダウはロシアのウクライナ侵攻の日の2/24に大底を打ち、その後、戻りかけてもう一度3/9に底を付けて反騰し、3/15から本格的に上昇しています。

日経平均も2/24に底を付けて、もう一度下げて3/9に大底を打ち、3/16から本格的に上昇しています。

一方ドル/円は、リスクオフが始まった2/24の辺りでは大きな動きはありません。株価が大底を打った3/8辺りから円安に向かい始めて3/11から本格的に円安に向かってブレイクしています。

つまり、今回の円安は、通常の有事の円買いが始まるリスクオフのタイミングではなく、その後の、リスクオンのタイミングで始まっています。

そして、これまでを振り返ると、米国は3月のFOMCまで日本と同じゼロ金利政策を取っていました。つまり、今回解消された3月までのキャリートレードは、円ではなくドルでも良かった事になります。

しかし、今後は米国の利上げが決まっているため、リスクオンで新たに始めるキャリートレードは円キャリートレードになると思われます。

これまでの解消されたキャリートレードは、円、ドル共にあり、新しく始めるキャリートレードは円キャリートレード。

これが、今回有事の円買いが発動せず、逆に大きく円安に振れた理由になるのではないかと思います。

私は自分の投資の目安として、新たな円キャリートレードが維持されると考え、夏場くらいまでは、レンジを一段切り下げて116円~123円くらいのレンジを考えています。

もちろん、日本のインフレ政策や、戦後の処理次第で状況は大きく変わります。中国、ロシアが領土問題解決の選択肢に、軍事的解決を考慮出来るような戦後処理になると、両国と領土問題を抱える日本は火中になります。そういう事がないとしての予想です。

夏場までというのは、半導体の需給が改善されるのがその辺りとの予想なので、半導体の需給が改善されれば新たな経済環境になると考えているからです。

あくまでも、私個人の投資の為の見通しです。将来の見通しなどの無責任な事はブログには書かない方が良いと思っていたのですが、何となく書いてしまいました。

今後の見通しについては、あまり参考にはしないで下さい。何かあれば、私はコロコロと見通しを変えていきます。コロコロと。

 

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為替とFX(10)FXの手堅い始め方

この記事は、FXで利益をあげる方法ではなく、もし、才能があるのならば、才能が開花するまで取引きを続け、なるべく早く才能を開花させる方法のお話です。内容的には、すごくシンプルなお話で、リスクを抑えつつ経験を積むというお話です。

 

 

 

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