為替とFX

為替とFX(3)リスク(為替・流動性・スリッページ・システム障害)

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前回に引き続きFXのリスクについてお話します。今回は為替変動リスク、流動性リスク、スリッページリスクと約定力、システム障害リスクです。

為替変動リスク

為替変動リスクは次にあげる流動性リスクと密接に関係があります。為替の変動幅は短期的にも長期的にも材料の大きさによって決まると思います。

ただ、事前予想などが出ている場合はその予想との乖離分の動きになります。流動性が良くなるとか悪くなるというのは大きな材料ですが、流動性が良いとか悪いとか言うのは新しく出た材料ではないため、長期的には影響はないと思います。しかし、流動性が低いという事は短期的には大きく値を跳ばす原因になります。

その他に注意して欲しい事は、人によって、例えば3円くらい動いた相場に対して、常に5円くらい動くんじゃないかと大きく動くと思ってしまうタイプの人とか、逆に1円くらいしか動かないんじゃないかな、と常に小さく考えるタイプの人もいます。

自分のはずれ方に特徴があるようだったら把握しておきましょう。株の話ですが私の場合、ここがピーク(ボトム)と思うのが1~2週間位早いようです。株をやっている方なら分かると思いますが、ピーク(ボトム)間近の2週間ってものすごく上がる(下がる)時があるんです。何度も痛い目にあいました。

 

流動性リスク

パソコンなどで為替のボードを見ていると、チカチカとレートが引っ切り無しに変わっているのがわかります。そのすべてが誰かの売り注文と誰かの買い注文が約定しているのです。

我々はボードを相手に売買をしているのではなく、ボードを介して人を相手に売買しているのです。この売買の注文を出している人たちを市場参加者と言います。

米ドル/円やユーロ/米ドル、ユーロ/円などの、メジャーな通貨ペアならば市場参加者が多く、通常はほとんど問題ありません。

しかし、何か大きなイベントや災害、要人の重大な発言などがあると、売買どちらかの注文が減り、どちらかの注文が増えます。

注文が減った方は、現在表示されている価格よりも離れた所にしか次の買い(売り)注文がなくなるため値動きが荒くなります。

メジャー通貨では起こらないと思いますが、最悪値段が付かないこともありえます。

これが流動性リスクです。

元々取引き量の少ないトルコリラや南アフリカランドなどのマイナー通貨は、通常時から少しの材料(相場に影響を与える事柄)で値動きが荒くなります。さらに何か大きな材料があった時には流動性リスクが一気に高まります。

スリッページリスクと約定力

FX業者はほとんど相対取引を採用していますが、カバー先を通じてインターバンク市場と連動しています。

ストリーミング注文や、ロスカット、逆指値などの「ある価格」に到達したら約定する注文方法で発注していた時には、ズレが生じる場合があります。

これがスリッページリスクです。

スリッページはFX業者の約定力の高さが影響します。

約定力とはFX業者が顧客に提示したレートで約定させる力です。FX業者のシステムやサーバーの強さ、かかえているカバー先の数などで約定力の強さが決まってきます。

では、スリッページが何故起こるのか詳しく説明します。FXの発注から約定までの流れは、

  1. ①(投資家がパソコンやスマホから)発注
  2. ②(FX業者のシステムがサーバーで)受注&カバー先と価格の付け合せ
  3. ③(FX業者のシステムがサーバーで)約定処理

という流れになります。

②のあたりはFX業者によって若干違いはあるかも知れませんがだいたいこんな感じです。

①発注から②受注までは顧客の回線のスピードにより0.1秒なのか0.01なのか知りませんが、少~し時間が掛かります。

②受注から③約定処理までがFX業者のシステムやサーバーの強さによって掛かる時間が変わって来ます。

この①~③の少~しの時間の間も為替の価格は目まぐるしく動いています。

何しろ世界中で何億人?が市場に参加しているのですから。また、カバー先との価格の付け合せでは、カバー先が多いか少ないかで有利な価格を付け安いか付けにくいか決まってきます。で、この僅かな時間で、発注前に提示していた価格と約定時の価格にズレが生じて来るというわけです。

では、実際どのくらいの幅ズレるのでしょうか。通常0.3銭とか0.5銭くらいで、すごく大きい時で5銭~10銭くらいでしょうか。大暴落などはこの限りではありません。

証券会社で外債などに慣れている方は「え?・・??・それだけ?」って思うのではないでしょうか。私も最初はそう思いました。

しかし、FXには数秒から数分で取引きを終わらせるような投資方法もあります。短期売買においては、たぶん最重要な部分になります。そして、現物ではないという点は気になりますが、外貨保有ということに関してはFXは証券会社の一歩も二歩も先を行っています。

システム障害

FXに限りませんが、私たちがネット証券やFX業者に売買の注文を出す時は、インターネットを通じて発注します。この時にシステムに障害が起きていると発注出来ないというリスクです。

株式などの証券会社の場合、比較的多くのネット証券で電話注文という手段を用意していますが、FXは日本に入って来たのが1998年と新しく、またコストの面からも厳しく、電話注文に対応している会社は少なく、電話注文のある会社から選ぶというのは現実的ではありません。

複数口座を作ることが最善の対策かと思います。

1社で賄うなら、なるべくシステムのしっかりした会社を選ぶしかないでしょう。しかし、口座を作ったら一応、「緊急時電話注文は出来るのか」確認しておきましょう。手数料が掛かっても出来るのであれば、知っていたと知らなかったとでは壊滅的な差が出るかも知れない事柄です。

なお、一般的にシステム障害というとFX業者のシステム障害を指しますが自分のパソコン、スマホ、通信回線などが原因で発注出来ないこともあります。

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次回はFXに関する用語の中で誤解されやすい用語や、聞き慣れない用語についてお話します。

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あくまでこのブログを読みやすくする目的で、なるべく短い文章でざっくりと説明しています。

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FXのリスクは色々あります。今回は、損益の倍率を上げるレバレッジ、損金をあるレベルで確定させるロスカット、そして、一番やりきれない思いになるだろう詐欺のリスクです。

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