前ページ 投信(10)ブルベア型投信の欠点と使い方、ライバル商品は?
投資をする際、投資家は色々な事をしなければなりません。金融商品や相場の勉強。投資対象の選択。分散投資と管理。やる事はいっぱいです。投資信託は、その手助けをしてくれる商品で、投資信託を使う事によって色々な手間を省く事が出来ます。
目次
資産複合(バランス)型投信は、資産の配分比率が最重要
投資信託の投資対象資産は、株式、債券、不動産、その他資産に分かれます。それぞれの資産は、さらに、国内、海外、内外の投資対象地域に分かれます。
資産複合型投信は、国内株式、海外株式、国内債券、海外債券、国内不動産、海外不動産、その他資産などから複数の資産に投資します。
しかし、内外の同じ資産に投資する投信は、資産複合型とは言わず、例えば、国内株式と海外株式に投資する投信は、内外株式型と言います。
資産複合型投信の性格は、資産の組合せと配分比率でほぼ決まります。
資産の組合せ
一番オーソドックスな組合せは、株式と債券ですが、国内だけのものや、世界が対象のもの、不動産も組込むものなどいくつかの組合せがあります。どれが良いかは投資家側のニーズによります。
初心者でもベテランでも、頭に思い描く理想の資産と配分比率というものがあると思います。なかなか出会えないのですが、もし、それにかなり近いバランスのファンドに出会えたなら、投資してみる価値はあると思います。
配分比率
資産の組合せと配分比率で、ファンドの成績はほぼ決まってしまうと思われます。それほど大切な項目です。
今後、大きく値上がりしていく資産の比率が高ければ、数年後の運用成績は良くなりますし、配分比率の高い資産が低迷していては、なかなか運用成績は良くなりません。各資産毎の運用成績でこの差を補うのは、至難の技かと思います。
配分比率は、固定のタイプと相場状況に合わせて変動させるタイプ(アロケーション型)があります。どちらのタイプもリバランスは行います。
リバランスは資産複合型投信に投資する最大のメリット
資産構成を決めて投資する事は、何も投資信託を使わなくても自分で出来ます。自由がきく分、その方が良いのかも知れません。しかし、投資信託は、個人では色々面倒だったり、難しかったりするリバランスをしてくれます。
投資信託のリバランスの方法
資産の配分は、相場の変動により変化してしまうため、一定の期間、若しくは一定の変動があると、リバランスし元の配分比率に戻します。
ただし、オープン(追加型)投信では、日々、買付けによる資金流入と解約による資金流出があります。流入の多い日は減っている資産を買い足して、流出の多い日は増えている資産を売却して調整します。
それでも足りない場合は、当初の配分比率から数% 乖離したら、若しくは、一定の期間経過したら、リバランスして元に戻します。
リバランスとは、例えば、配分比率が、株式50% 外債50%の投信で、それぞれの比率に従い株式100億円・外債100億円買付けてスタートしたと仮定します。
株式が値上がりし100億円→160億円に、外債が値下がりし100億円→80億円になったとすると、株式40億円を売却して外債40億円を買い足し、株式120億円・外債120億円の株式50% 外債50%の比率に戻します。(本来リバランスは、数%の変動幅で行うものなのですが、ピッタリした数字が見つからなくて、こんなに大きな触れ幅の例になってしまいましたww まあ、わかりやすそうで良いかとww)
リバランスのメリットとデメリット
リバランスの内訳をもう少し詳しく見ていきます。
仮に株式100億円の内訳を 株価1000円×株数1000万株、外債100億円の内訳を 単価100円×額面100億円とします。
株式が160億円になるというのは、株価が1000円から1600円に値上がりして1600円×1000万株になったという事です。
リバランスして120億円にするというのは、株数を1000万株から750万株に減らして1600円×750万株にしたという事です。
同様に外債も(100円×額面100億円=100億円)→(80円×額面100億円=80億円)→(80円×額面150億円=120億円)にしたという事です。
つまり、リバランスは値上がりした所で数量を減らし、値下がりした所で数量を増やします。
(上昇する時の数量)>(下降する時の数量) となるため、相場が上下動を繰返した時にメリットが生まれます。
しかし、値上がりした所で数量を減らし、値下がりした所で数量を増やすという事は、好調な資産を売却して、不調な資産に注ぎ込むとも言えます。
相場が一本調子に上がる時や、一本調子に下がる時には、デメリットになります。
このデメリットに対応したのが、配分比率を変動させるタイプ(アロケーション型)になります。上手くやってくれれば良い結果が期待できます。
リバランスのメリットを考えると、資産複合型投信はもっと評価されて良いように思います。しかし、私もリバランスが効率の良い投資方法とあまり思えていません。背景を考えた時に、1つ思い当たる事があります。超長期で見た時に、一番値動きの大きいであろう株式市場が、直近の30年間の日本市場を除いて、どこの国のいつの市場でも、大抵は大きく値上がりしているからです。そして、守りに強い投資信託よりも、攻めに強い投資信託の方が心に残るからかと思います。
資産複合型の代表格が公的年金
投資信託ではありませんが、資産複合型の代表的なものが公的年金です。
公的年金は、2020年4月1日から以下ような配分比率で運用されています。
国内債券25%、外国債券25%、国内株式25%、外国株式25%
この各資産の配分比率が、一定の幅 乖離するとリバランスが行われます。
配分比率は、概ね3年~5年毎に割りと大きな見直しがされており、2014年以前は国内債券の比率が60%を超えていました。
公的年金は、配分比率変動型という事になります。
詳しくはこちら「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)ウェブサイト」
資産複合(バランス)型投信はどんな人に向く? 使い方は?
資産複合型投信は初心者に向くのか? などの話題をたまに目にしますが、初心者云々はあまり関係無いように思います。積立てや年金資金は別にして、資産複合型投信は、お金持ちに向くかと言われれば何とも言えませんが、お金のない人には向かない商品だと思います。
お金のない人、これから資産を作らなければならない人は、多少リスクを取っても相場の波に乗っていかなければなりません。資産複合型投信はリバランスをしてしまうため、良くも悪くも安定志向の商品です。
そもそも、人並み以上にお金を増やさなければいけない人が、すべて人任せにしてどうする? というお話です。
一通り分散投資をして、まだ資金が余っているというお金持ちは、景気拡大局面の待機資金の置場所として使えます。チャンス時に使うお金の置場所です。景気拡大局面でなければ、現金や債券、債券投信などの方が良いと思います。
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次回は、単位(スポット)型投信です。
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投信(12)単位(スポット)型投信はお役後免?
新規設定時の募集期間中にのみ購入出来、運用期間中に追加募集されない投資信託で、旬なテーマでスポット的に設定される投資信託をスポット型投信といいます。しかし最近は、殆ど設定されていないようです。
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投信(10)ブルベア型投信の欠点と使い方、ライバル商品は?
ブルベア型投信は、使い勝手の良さそうな印象とは裏腹に、使い方がかなり限られる商品です。ブルベア型投信の仕組みや、ライバル商品、使い方についての説明です。
に掲載している、資産複合(バランス)型投信の簡単な紹介文も貼り付けておきます。
バランス型投信(資産複合型)
特徴
国内株式だけとか、外国債券だけなどの投信ではなく、複数の資産が組み合わされている投資信託。組み合わせは様々です。例えば、株式・債券・リートの、それぞれの国内と海外に分けたら、6資産に分類という事になります。
それぞれの資産の投資配分を、状況によって変動させるものもあれば、固定のものもある。
メリット
1つの投資信託で複数の資産に投資する事で、各資産毎の配分のバランス調整やリバランスまでしてくれる。
デメリット
値動きの原因が分かりにくい。リスクを抑えた結果リターンが少なかったのか、ただ単にリターンが少なかったのかなど、運用の良し悪しがわかりづらい。自分でリスクコントロールしたい人には不向き。
選別のポイント
如何にリスクを減らしてリターンを取ったのかがわかりづらいため、選別の難しいファンドです。大きく分けて、相場状況に合わせて配分比率も変動させるタイプと、配分比率はほぼ固定のタイプがあります。性格が大きく違って来るため、ポイントになります。
口コミや残高の額や増減なども一応の目安にはなります。こういう見るポイントが多すぎて選別の難しいファンドを選ぶコツは・・・ねちっこく頑張る! か・・諦める・・・です。