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債券(9) 金利上昇局面は上がっていく金利を取り損なわない投資方法

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今回はいよいよ、債券の最終章で債券の投資方法についてです。(会社のお金や他人のお金を運用するような)プロの運用ではなく、あまり細かい計算抜きに少しネットで情報を漁れば出来そうな方法です。

まず、債券を運用する時に、相場環境で大きく2つに分かれます。金利上昇局面と金利低下局面です。まずは、先に来るであろう金利上昇局面からです。そして、それぞれの局面で償還まで持つか売買するかです。なお、金利水準は今(2019/10)の金利情勢で考えていきます。

金利上昇局面の債券運用は短期債・金利変動債・空売り、若しくは低格付け債です

金利上昇局面は、まず、「景気拡大による良い金利上昇なのか」「破綻リスクの高まった悪い金利上昇なのか」から考えましょう。悪い金利上昇でしたら外貨保有が一番の対抗策かと思います。若しくは売建てです。では、良い金利上昇と仮定して話を進めていきます。

償還まで持つ場合

今すぐは金利は上がって来そうにはないので、あくまで上がり始めたらの話です。国内債ならば商品的には短期債を償還乗換でいくか、利率変動債を買うかです。短期債というと3年以内位でしょうか。利率変動債は個人向け国債10年で良いと思います。短期債は、もし、償還の時もここまで金利は上がっていないだろうと思える高利回りの社債や劣後債ならば3年が4年位でも良いと思います。

外債も同じ考えで短期債を償還乗換で良いと思います。基本的には、損をしないとか儲けると言うよりは、徐々に上がっていく金利を取り損なわない為にどうするかです。

 

売買する場合

債券の利益のうち、金利でもらう利益をインカムゲインといいます。売買などで得る単価の値上がり益をキャピタルゲインといいます。売買で値上がり益を狙うという事は、当然値下がり損もあるわけで債券だから安全と言うわけにはいきません。ただ、株などと違って値下がりしてしまっても満期に向けて額面に近づいていくので、倒産しない限りは株に比べると損失はかなり限定的です。

債券の運用は、金利が下がるのを見越して、なるべく期間の長い債券を買い金利が下がったところで売却して利益を出します。国全体の金利の上昇下降というものは、本来景気のサイクルに連動します。景気のサイクルは短期でコロコロ変わるものではないので、金利の上昇下降もある程度息の長いものになります。金利が上昇すると債券価格は下落します。なので金利上昇局面は、株で言うところの長期の下げ相場での運用のようなものです。

しかし、金利上昇局面は通常は景気の良い時なので、ハイイールド債の中には個別銘柄では格付けの上昇によって大幅に金利が低下していく銘柄もあります。

また、条件的には厳しいですが、もしあれば転換社債の中で早期償還条項がなく、株価の見通しが良く110円以下で乖離率も低い・・・・夢のようですね。しかし、もし見つけたら早急に調べて下さいね。私の経験上、出来高の多い銘柄の場合「自分の知らない悪い話がある」事が多く、出来高の少ない銘柄の場合「自分の知らない悪い話がある」の他に売りに出している人が(安いとは)知らずに、あるいはどうしても資金が必要で出しているのではないかと思える場合があります。調べたら迷わず買うか買わないか判断して下さい。「考えろ!迷うな!」です。投資は時として1秒2秒をあらそうことがあります。調べて考える事は必要ですが迷う時間は必要ありません。まあ、転換社債を110円以下で買ってそうそう大怪我はないと思いますが。

外債も同じくハイイールド債が面白いと思いますが、外債のハイイールド債は「格付けの高い国の通貨で格付けの低い企業」と「新興国の国債」と分かれます。海外の格付けの低い企業まで網羅するような知識があれば良いのですが、そんな人がこのブログを読んでいるとは思えません。もっと言えば私の周りにはいません。海外の格付けの低い企業に手を出すのであれば債券ではありませんが債券型の投資信託(ハイイールド債ファンドなど)の方が良いと思います。理由としましては、

  1. 分散投資ができる
  2. 流動性がある
  3. ハイイールド債ファンドはたくさんあるのでデュレーション(組み入れ債券の残存年数)などが選べる

などです。

もうひとつの「新興国の国債」ですが、良いとは思います。思いますが、こちらも投資するならばその国について勉強してからにするべきだと思います。例えばトルコ国債を買うのであれば、トルコの面積、人口からはじまって経済や政治、抱えている問題や、強み弱みなどなどです。

調べ方は簡単で、証券会社のセミナーやオンラインセミナー、トルコリラ建ての商品の目論見書などで概要は分かると思います。あと、気になる所をネットで調べ足したら良いかと思います。特に抱えている問題は詳しく調べた方が良いと思います。「それでこの高い金利が出ているんだ」と納得できる程度には調べるべきかと思います。それをしておくと、将来、時々情報を更新していくだけで、その通貨は自分の得意な投資先になっていきます。

得意な投資先や銘柄をいくつか持つ事は投資をする上で凄く大切な事です。私としては投資資産の7~8割くらいが得意な投資先で残りの2~3割くらいが新しい得意な投資先を探しているような常態が理想かと思います。ただ、得意な投資先が全部今が買い時と言うわけではないので10銘柄買うのであれば50~70くらい得意な銘柄が必要ではないでしょうか。ゆっくりで良いのでコツコツ積み上げていきましょう。

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次回も、債券の投資方法で金利低下局面です。日本ではず~っと先の話になりそうですけどね。

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債券(10) 金利低下局面の投資方法は超長期債を買うだけ

金利低下局面での債券の運用です。期間が長く格付けが高く金利の高い債券を買う。金利低下局面ではこれに尽きるのですが、思い通りには行きません。というのも、債券に限らず相場の変わり目を見極めるというのは非常に難しいからです。打診買いをしましょう。

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債券(8)参照指標が株価の仕組み債 日経平均株価連動債とEB債

仕組債は基本的に債券とは考えないで下さい。今回は、日経平均株価連動債、EB債について解説します。

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