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株式(17)売出(PO) 公募との違いや取得までの手順や日程の目安

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大株主の持ち株の売却方法

大株主などが、まとまった株数を売却したい時に、市場で売りにいくと、自分の売り注文で値段を下げてしまいます。そんな時は、公募増資と同じように目論見書を作成して売却する「売出」や、もう少し株数が少ない時は、市場外で売りに出す「立会外分売」などで売却します。いずれも市場より1%~5%位安い価格で無手数料で売りに出します。

こちらはすでに発行されている株なので、一株利益が減るとか、議決権が薄まるというデメリットはありません。しかし、浮動株が増えるので需給関係は悪くなります。また、売却代金は、大株主に入るので、会社の資金調達にはなりません。

 

売出(PO)取得までの手順や日程の目安

売出は、取得する株式が新株ではなく、大株主の出した株式というだけで、取得するまでの手続きは公募増資と全く同じです。

(ここからは 株式14の「公募株(PO)取得までの手順や日程」とほぼ同じ内容です。投資家の取得の手順は同じですが、企業のファンダメンタルズに与える影響は全く違うため別掲載にしました。共通する需給関係の悪化という悪材料が大きすぎて影に隠れてしまっていますが、ファンダメンタルズに与える影響は大切な事です。)

売出(PO)取得までの手順はこんな感じです。(投資家がする事は1.2.6.です)

  1. (PO発表)証券会社のHPやPOの情報サイトなどでPOを探す
  2. (抽選申込み期間)取り扱っている証券会社で目論見書を確認し、ブックビルディングに参加する
  3. (価格決定日)売出し価格決定
  4. (価格決定日)抽選
  5. (価格決定日の翌営業日)抽選結果発表
  6. 当選したら価格・株数を確認し購入申込み
  7. 株券交付日(売却可能日)

2. のブックビルディングでは、IPOと違い価格決定日の終値からのディスカウント率(割引き率)で申込みます。ディスカウント率は通常は1%~5%程度の中から選びます。

5.6. 安定操作が入る場合は価格決定日の翌日~購入申込み最終日までの期間に入ります。

6. 当選したら購入申込みに進みます。新株公開株(IPO)と違い、複数単元当選する事も珍しくないです。注意して下さい。 購入辞退する場合も、この時に行います。細かいルールは各社少しずつ違います。確認して下さい。

安定操作

株価を安定させる目的を持って株価操作を行う事です。相場操縦取引きになりますので、通常は禁止行為です。しかし、公募増資や売出の募集をする時など、一定の要件をみたす時には許可されます。通常は主幹事証券会社が取り纏めて行います。殆どの場合、値下がりを防止するために行われます。注意が必要なのは、安定操作が終了した後は買い支えがなくなる事と、安定操作で買付けた株は遠からず売りにまわるという事です。

続いて、証券会社や銘柄によって若干の違いはありますが、大まかな時間的な流れはこんな感じです。(日付は例・期間は営業日で計算しますので、土日祝日が入ると日数は増えます。)

  1. PO発表 (例 9/3)→
  2. 抽選申込み期間 (例 9/4~価格決定日)→
  3. 売出し価格決定日(例 9/23~9/26(4営業日)のいづれか)(だいたい初日に決まる)→
  4. 抽選日(価格決定日 例 9/23)→
  5. 抽選結果発表日(価格決定日の翌営業日 例 9/24)→
  6. 購入申込み(抽選結果発表日~翌営業日)→
  7. 株券交付日(売却可能日 例 9/30)

こんな流れになっており、特にコメントはありません。

そして、公募売出(PO)の話しになると必ず出てくる信用つなぎ売り(空売り)の話はこちらにまとめました。

信用つなぎ売り(空売り)について →  株式(15)公募株・売出のつなぎ売り(空売り)規制について

公募増資と売出の違い  ファンダメンタルズに与える影響は後々に響きます

公募増資は、株式の発行会社が新株を発行するので、発行会社の資金調達になります。

売出は、大株主などが保有している持ち株を売却する手段です。売却代金は、大株主に入るので、会社の資金調達にはなりません。ただし、会社自身が自社株買いなどで保有していた自社株を売出した時は、売主として資金調達出来ます。

公募増資・売出に共通する点は、どちらも浮動株が増えるので需給関係が悪くなります。そして、どちらも発行会社や主幹事証券会社は、優良な株主を得たいという思いを持って行っています。

公募増資・売出の違う点は、公募増資は発行株数が増えるので既存株主にとっては、1株当たりの利益が下がり、株主の1番大切な権利である議決権の価値が薄まります(株式の希薄化)。売出は既にに発行されている株なので、一株利益が減るとか、議決権が薄まるというデメリットはありません。

まとめると、違う点は

  1. 売却代金の受け取りが発行会社か大株主か。
  2. 発行株数が増えるか増えないかの影響。
  3. 以上2点からファンダメンタルズに与える影響。

共通する点は

  1. どちらも目論見書が必要でブックビルディングがある。
  2. 浮動株が増え需給関係が悪化する。
  3. 発行会社も主幹事証券会社も優良な株主を得たいと思っている。

以上です。次回は、立会外分売です。

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株式(18)立会外分売  目的や取得までの手順や日程の目安

東証一部上場を狙って動いている企業は、立会外分売などを利用して株主数を増やしていきます。立会外分売は、売出に比べて遥かに小さな株数で募集出来ます。そのため、一気に需給関係が崩れる事なく、意外に頑張って値上がりしていく銘柄が目立ちます。

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第三者割当増資・株主割当て増資・新株引受権付社債・ストックオプションなどのその他のエクイティファイナンスについてです。第三者割当増資は、本来の使い方をされれば、まさに企業の救世主となる事もありますが、不公正ファイナンスの温床にもなっています。

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