前ページ 積立て(1)公的年金と私的年金のややこしい名称の整理
公的年金は任意ではなく義務です。すべての国民は、否応なしに国民年金(老齢基礎年金)に加入する義務があります。加えて、会社員・公務員は(老齢)厚生年金にも加入する義務があります。
目次
2つの公的年金 国民年金と厚生年金の共通すること
第1号~第3号被保険者の定義
- 第1号被保険者は、自営業・フリーランスなど。第2号、第3号被保険者でない人はすべて第1号被保険者です。
- 第2号被保険者は、会社員・公務員など(老齢)厚生年金の加入者です。
- 第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養されている配偶者などです。
公的年金の加入義務のある対象者 | ||
第1号被保険者 | 第2号被保険者 | 第3号被保険者 |
例) 自営業・フリーランス | 例) 会社員・公務員 | 例) 専業主婦など |
国民年金(老齢基礎年金) | ||
(老齢)厚生年金 |
国民年金と厚生年金の双方に共通する事は、賦課(ふか)方式という事と、対象者は強制加入という事です。また、双方共に、老齢年金の他に遺族年金と障害年金があります。
賦課(ふか)方式とは、現役世代が積み立てている保険料を財源として、現在の年金受給者の年金を賄う方式です。自分の支払った保険料を、将来自分が受給するというわけではありません。将来自分が年金を受給する時には、その時の現役世代が積み立てている保険料が財源になります。
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国民年金(老齢基礎年金)の加入義務・拠出金額・給付金額
2019年3月現在(含む遺族年金・障害年金) 被保険者数 約6746万人。給付金受給者数 約7543万人。給付金受給額 約23.6兆円
日本に住む20才以上60才未満の、すべての国民に加入義務のある年金です。
掛け金は令和2年度は第1号被保険者が月々16,540円です。
第2号被保険者の掛け金は(老齢)厚生年金の掛け金に含まれています。
第3号被保険者の掛け金はありません。
給付金は、令和1年度は満額で年間780,100円でした。満額とは20才~40才まで40年間保険料を全額払った場合の給付金額です。
(老齢)厚生年金の加入義務・拠出金額・給付金額
2019年3月現在(含む遺族年金・障害年金) 被保険者数 約4428万人。給付金受給者数 約4067万人。給付金受給額 約31.9兆円
会社員や公務員に加入義務のある公的年金です。公務員は共済年金に加入していましたが、2015年10月に厚生年金に統一されました。
掛け金は標準報酬月額によって決まり、給付金額も現役時代の標準報酬月額から算出されます。
標準報酬月額とは、月給(総支給額)を一定の金額毎に32段階に区切ったもので、上限は65万円です。月給が635,000円以上の方は、月給100万円でも200万円でも標準報酬月額65万円として計算されます。
標準報酬月額の18.3%が拠出金額です。これを企業と加入者で半分づつ出します。標準報酬月額が上限の65万円の人ならば、拠出金額は118,950円。加入者の支払う額は59,475円です。
最高額で40年間掛け続けたとして、給付金は厚生年金の部分だけで年額330万円位貰える計算になります。そんな人はほぼいませんけれども。
再度申し上げますが、公的年金は賦課方式です。計算通りに貰えるとは思わないでいた方が無難です。
次回は、私的年金の確定給付年金3つの説明です。
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積立て(3)確定給付年金3つの加入資格・拠出金額
確定給付年金は3種類あります。個人型の国民年金基金、企業型の厚生年金基金と確定給付企業年金(DB)です。個人型には、予定利率の不公平感が、企業型には企業の追加拠出というリスクがあり、普及の妨げになっています。
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積立て(1)公的年金と私的年金のややこしい名称の整理
公的年金の、国民年金(老齢基礎年金)と(老齢)厚生年金。確定給付年金の、国民年金基金と厚生年金基金と確定給付企業年金(DB)。確定拠出年金の、企業型確定拠出年金(DC)と個人型確定拠出年金(iDeCo)の違いの説明をします。