投資環境

投資環境(7)経済の大きな出来事の年表 1989年~2000年

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平成の始めから、時代時代の株価に影響を与えた、とても大きな出来事を見ていきたいと思います。

1990年 不動産バブル崩壊 失われた ◯◯ 年

いきなりですが、この年表中で1番大きな出来事が起こります。バブル崩壊です。

日経平均四本値は年足で日々終値ベース。高値(安値)のカッコ内は高値(安値)を付けた月。

月日 出来事 日経平均四本値 為替四本値
1989 12/29 日経平均最高値を記録。 始 30243.66 始 123.98
高 38915.87(12) 高 151.35
安 30183.79(1) 安 123.80
終 38915.87 終 143.40
1990 バブル崩壊 始  38712.88 始 145.55
高 38712.88(1) 高 160.35
安 20221.86(10) 安 124.05
終 23848.71 終 135.40

この年表の少し前、1985年にNTTが民営化されています。日本ではこのNTT上場から、一般の人達に株式投資が広まったと言われています。

1989年大納会と、正月を挟んで1990年大発会で、まさに相場は大反転してしまいました。不動産バブルとも言われています。因みに海外は、1989年末のNYダウは2,753米ドルで、2019年末は28,538ドルです。ハンセン指数も1989年末は2,836香港ドルで、2019年末は28,189香港ドルです。10倍以上になっています。

このバブル崩壊を経験している人たちは、後のITバブル崩壊も、リーマンショックも、直接の煽りを喰らっていなければ、このバブル崩壊に比べたら遥かに小さく感じていると思います。このバブル崩壊の影響を指して、10年後には「失われた10年」などと言われていましたが、20年後には「失われた20年」と言われ、現在は「失われた30年」と言われたりもします。未だに傷が癒えたとは言い切れないと言うことです。

 

1995年 ウィンドウズ95発売 ここからITバブルが始まります

損失補填、相場操縦、インサイダー取引等々、日本の証券会社が、数々の不祥事で規制が強化され低迷している中、外資系証券が台頭してきます。やっている事は同じだとしか思えませんでしたが。

日経平均四本値は年足で日々終値ベース。高値(安値)のカッコ内は高値(安値)を付けた月。

月日 出来事 日経平均四本値 為替四本値
1991 1/17 湾岸戦争。初めて戦争の映像がTVを通して報道されました。 始 24069.18 始 132.90
高 27146.91(3) 高 142.02
安 21456.76(8) 安 125.10
終 22983.77 終 125.25
1992 8 PKO(プライス キーピング オペレーション)。公的資金による株価の下支えが複数年に及んで実行されました。 始 23801.18 始 124.03
高 23801.18(1) 高 134.95
安 14309.41(8) 安 118.60
終 16924.95 終 124.65
1993 10/26 JR東日本 上場 始 16994.08 始 124.86
高 21148.11(9) 高 125.95
安 16078.71(11) 安 100.40
終 17417.24 終 111.89
1994 7/22 ソフトバンク店頭登録 始 17369.74 始 112.78
10/27 JT 上場 高 21552.81(6) 高 113.60
安 17369.74(1) 安 96.35
終 19723.06 終 99.83
1995 1/17 阪神淡路大震災 始 19684.04 始 100.88
3/20 地下鉄サリン事件 高 20011.76(12) 高 104.75
?インターネット民間解放 安 14485.41(7) 安 79.75
8/24 ウィンドウズ95発売 終 19868.15 終 102.88

1995年8月24日 ウィンドウズ95発売。インターネット技術の民間への放出と相まって、米国からITバブルが始まりました。ハード(PCや部品、通信など) → ソフト(OSやアプリ) → コンテンツ(情報の中身) の順で、規模を遥かに拡大させながら10年以上の大相場になると言われていました。相場は、2000年(ハードからソフトの辺り)で1度大暴落していますが、IT産業はその後も拡大を続け、言われた通り以上の成長をしています。

まだ、1990年のバブル崩壊の影響が大きく残る中で、IT銘柄とそうでない銘柄で、株価は二極化していきました。二極化は正確には、外人投資家の買う銘柄と買わない銘柄とも言えます。

ところで、当時通信事業会社になる前のソフトバンクを、何の会社か説明出来る人は、証券マンにも殆どいなかったのを覚えています(今でもあまりいないような気がしますが)。同様に総合商社も何をやっているのか説明しづらい業種でしたが、総合商社はソフトバンクと違い、説明を求められる事があまりありませんでした。

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1997年頃から不動産バブルの影響で、超大手金融機関の統廃合が目立ちます

IT関連の銘柄が、バブルと言われる程の勢いで上昇していく一方で、不動産バブル崩壊の影響で、名の知れた金融機関が次々と統廃合されていきます。銀行を1つでも潰せば、取り付け騒ぎになる可能性が高く、そのための選択肢が統廃合や国有化でした。

日本では不動産バブルの処理が済まない中、米国などの海外の株式市場は非常に堅調だったため、海外投資家の資金が外資系証券を通じて流入し、外資系証券が跋扈していたイメージがあります。

日経平均四本値は年足で日々終値ベース。高値(安値)のカッコ内は高値(安値)を付けた月。

月日 出来事 日経平均四本値 為替四本値
1996 10/8 JR西日本 上場 始 20618.00 始 103.41
高 22666.80(6) 高 116.40
安 19161.71(12) 安 103.07
終 19361.35 終 115.90
1997 10/8 JR東海 上場 始 19446.00 始 115.85
金融機関倒産 高 20681.07(6) 高 131.56
11 4 ヤフー店頭登録 安 14775.22(12) 安 110.52
11/24 山一證券自主廃業 終 15258.74 終 130.61
1998 10/23 長期信用銀行国有化 始 14956.84 始 130.55
11 ムーディーズ日本国債格下げ 高 17264.34(3) 高 147.63
12/13 日本債券信用銀行国有化 安 12879.97(10) 安 111.53
終 13842.17 終 113.20
1999 2/12 日銀0金利政策導入決定 始 13415.89 始 113.28
11 マザーズ市場開始 高 18934.34(12) 高 124.79
安 13232.74(1) 安 101.22
終 18934.34 終 102.21
2000 3 ITバブル崩壊 始 19002.86 始 102.11
4 楽天 ライブドア 店頭上場 高 20833.21(4) 高 115.05
4/24 日経平均採用銘柄大幅入替え(30銘柄) 安 13423.21(12) 安 101.31
6 大阪ヘラクレス市場開始 終 13785.69 終 114.27

1997年頃から金融機関の倒産、統廃合が目立ってきます。1990年のバブル崩壊から不動産価格は下がり続け、不動産を担保にした貸付けが、いよいよどうにもならなくなって来ていました。不良債権です。この結果、日本国債はAAAからAA+に格下げとなりました。

不動産価格は、東京23区の商業地で2001年頃まで下げ続けたのち上昇してきており、地方都市の商業地では2005年頃まで下げ続けたのち上昇してきております。住宅地においては、東京23区で2006年頃から上昇してきており、地方都市では2005年頃まで下げ続けて未だに横這いです。経済はインフレが正常と考えると、未だに1990年のバブル崩壊の影響が抜けきれていない事になります。恐ろしいですね。

2000年3月ITバブル崩壊。ソフトバンク、ヤフー、光通信。この3社を中心にPCや周辺機器、部品、半導体などの企業が値上がりしていました。楽天やライブドアはまだ上場したばかりです。ITバブルはバリュー(割安)株投資ではなく、ほぼグロース(成長)株投資だったため、崩壊した時には株価が1/10、1/100になる銘柄が珍しくありませんでした。

2000年4月。追い打ちを掛けるように、日経平均採用銘柄が一気に30銘柄も入れ替えられました。当時の日経平均は米国のNYダウにあまり連動性がなく、一説には米国から圧力が掛かったなどと言われていました。私もそう思います。これにより、日経平均の戻りは、かなり限定的になってしまったと記憶しています。

まとめ

今振り返ると、それでもまだ1990年代前半は国内外とも金利は高く、長期債投資と言う選択肢はありました。米国株などの外国株への投資は、為替が360円の時代からずっ~と円高基調だった事、手数料が割高だった事、投資出来る銘柄や金融機関がものすごく限られていた事などを考えると現実的ではありませんでした。現実的には、個人投資家は材料株や材料株の空売りで利益が上がっていたと覚えています。

次回は、2001年~2010年の年表です。

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投資環境(8)経済の大きな出来事の年表 2001年~2010年

ITバブル崩壊から始まり、米国同時多発テロ、イラク戦争、ライブドアショック、リーマンショック、民主党政権。そして、2011年には、東日本大震災。相場は、もぐらたたきのような10年間でした。

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投資環境(6)国際収支統計の項目の説明

国際収支統計は、国の1年間の外国との経済取引きの統計です。特に抑えておきたい項目は、経常収支、貿易・サービス収支、第一次所得収支(旧 所得収支)、金融収支(旧 投資収支)です。

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