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投資環境(21)原油の指標 WTI 北海ブレント ドバイ原油の比較

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世界の主要な原油指標は、北米のWTI、北海油田のブレント、産油国ドバイ、オマーンのドバイ原油の3つです。

世界最大の産油国サウジアラビアが主要指標に入っていないのは、スポット価格よりも長期のターム契約を重視しているからです。

品質は良い順に、WTI→北海ブレント→(少し差があって)ドバイ原油の順です。

原油の品質は、ガソリンなどになる軽質油が多く含まれていると良いとされ、重質油や、硫黄含有量が多い原油は質が落ちるとされています。

WTI(ウエスト テキサス インターミディエイト)原油の特徴

米国及び世界で取引きされる原油の指標になります。

テキサス州西部とニューメキシコ州東部の油田で産出された原油です。米国全体の原油を指す訳ではありません。

実際にWTIの石油産出量は日量 数十万バレルで、米国全体の数%しかありません。

それに対してWTIの原油先物取引は、日量 1億バレル以上の取引がされています。

先物に対して現物がまったく足りていないため、受け渡す際は他の原油をWTIと同質にブレンドして受け渡します。そのため、他のシェールオイルの価格の指標にもなり得ます。

【シェールオイル】・・主に米国で、頁岩(けつがん)層と呼ばれる地中深くの硬い岩盤層を砕く技術が確立して、採掘可能になった石油。

シェールオイルの採掘コストは油田によって違うが、平均して、2014年には1バレル70ドル~90ドルと言われていたが、2022年には1バレル40ドル以下と言われている。

今の米国の好景気は、オバマ大統領時代のシェール革命から始まっています。エネルギーを中東に依存しなくて良いという所から始まっているので、シェールオイルの採掘コストは非常に重要です。常に把握しておきましょう。

米国の景気とシェール革命について詳しくはこちら
株式(29)外国株式 米国株式 軍事と原油価格は要注意

トランプ大統領は「世界の警察官」の地位を降りると言っています。また、今回の好景気は、シェール革命からスタートしています。あらゆるものが証券化されている現代、何が何処に飛び火するかわかりません。軍事と原油、この2つはテールリスクになり得ます。

米国のシェールオイルは、中東や北海に比べて産油コストが高いため、原油価格が高い時に増産されやすくなります。従って、原油価格が上がって来るとWTIの原油価格は低下圧力が掛かりやすくなります。

また、シェールオイルは米国外への輸出は禁止されています。そのため、 備蓄量の増減が、他の原油に比べて価格に影響しやすくなります。

(北海)ブレント原油の特徴

まず始めに、恥ずかしい話ですが、現役時代二十数年間と、この記事を書くまでの数年間、ずっと北海ブレン原油だと思っていました。あの辺りの原油のブレンドだと。

北海ブレン原油だったんですね。恥ずかしい。幸い、お客様との会話などで、北海ブレントという単語を使った覚えはまったくないので、それだけは救いです。(北海)ブレント原油は、北海のブレント油田の原油なので、北海ブレント原油と言うそうです。

ブレント原油は、ブレント油田だけでなく、イギリス、ノルウェーなどの北海油田で産出された原油です。北海は水深約140m、産油層は地中 約2,600m~約2,800mです。

主に欧州で取引きされる原油の指標になります。

北海ブレントもWTI同様、先物取引が発達しており、世界の原油価格の指標になります。

海上油田なので、タンカーに備蓄する事も出来、状況によっては米国のシェールオイルより備蓄コストを低く抑えられる事があり、WTIとの価格差になる事があります。

地政学的に中東の緊張状態もWTIより価格に影響します。

ドバイ(オマーン)原油の特徴

産油国ドバイとオマーンで産出される原油です。主にアジアで取引きされる原油の指標になります。

日本で使われる原油は中東の原油なので、日本企業の原油コストを計算したい時などはドバイ原油が基準になります。

WTIと北海ブレントが先物価格なのに対して、ドバイ原油はスポット(現物)価格です。

WTI、北海ブレント、ドバイ どの指標を見たら良い?情報の取捨選択

ところで、我々の日本はアジアなので、ドバイ原油も見ておくべきなのでしょうか。

もちろん、代表的な指標が3つあるのならば、3つとも見ておくのが良いのでしょう。けれども、株式投資は、他にも見ておかなければいけない指標がいっぱいあります。如何にチェックする指標を減らすかという事は、すごく大切な事です。

目的にもよりますが、全体相場を測るためならば、ドバイ原油がよほど特殊な値動きをしていない限り、WTIを見ておけば良いと思います。

ただ、備蓄に関する事や、中東情勢、原油価格などが、特にどの指標に大きく影響するのかは知っておくと良いと思います。

そして、どのサイトを見れば、或いは、誰に聞けば疑問の答えに辿り着けるのかわかっていると役に立ちます。

対面証券の時代ならば、証券会社の営業マンに質問をぶつけると、わかる事は答えてくれて、わからない事は自社のアナリストなどに聞いて答えてくれたりもしていました。払った手数料にもよりますけれども。

今は、検索能力の高さがものを言うのでしょうか。

 

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投資環境(22)石油と原油の違い 埋蔵量 電力料金とガソリン代 等々

石油と原油って何が違う?石油と石油製品は?「原油の埋蔵量」っていくつも種類があるって知ってた?使っても使っても埋蔵量が減らない訳。電力料金の意外な決め方。などなど。

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投資環境(20)最先端の科学技術の情報収集は科学雑誌がお勧め。

研究段階の情報も含めて、最先端の科学技術の動向を知りたいのならば、月刊の科学雑誌がお勧めです。月刊の科学雑誌では、ニュートンと日経サイエンスがお勧めです。違いは、・・・・・。

 

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