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前回に引き続き債券の投資方法です。今回は金利低下局面になります。金利低下局面こそ債券の真骨頂を発揮する場面です。金利上昇局面とはいろいろ違います。
目次
金利低下局の債券運用は高格付けの超長期債でOK!しかし投資タイミングが難しい
償還まで持つ場合
なるべく期間が長く格付けが高く金利の高い債券を買う。金利低下局面では、これに尽きるのですが、なかなか思い通りには行きません。というのも、債券に限らず相場の変わり目を見極めるというのは非常に難しいからです。
よく、テレビやセミナーの解説で、転換点を過ぎてしばらくたってから、「ここでこの大事なシグナルが出ているので、ここが投資のタイミングだったんですよ。今回逃した方も、次回はぜひ逃さないようにしましょうね」などと「自分には当たり前なんですけどね」的な解説をよ~く耳にするのですが、大事なシグナルはいくつもあります。そして、騙し(凄く紛らわしいやつ)もあります。そもそも、そんなに大切なシグナルならばそれが出そうだという時点で折り込んで価格は動いています。
では、どうしたら良いでしょうか。大まかに「そろそろ、若しくは1~2年の間には金利は下がり出すんじゃないかな」くらいの予想でかまいません。それすら外れる事もありますが、かまいません。
「いつ、なぜそう思ったのか」をなるべく細かくメモしておいて下さい。そのメモは財産になりますし、これを残さないと同じミスを何度もします。あってもしますけど。
そして、少し投資資金は必要ですが、打診買い(試しに買ってみる)をしましょう。普段1回に100万円買うのであれば10万円くらい。債券の期間も短めの4年~7年くらい。これを3カ月おきとか6カ月おきに繰り返します。同じ銘柄でも違う銘柄でもかまいません。
例えば、5回目過ぎた辺りから買った債券の平均利回りが市場の利回りを下回って来たとします。ピーク前から買っていて下回って来たとすると、金利は結構、「もう今さら」と思えるくらい下がっているかも知れません。ここまで何もしていなければ、何も出来ないまま終わってしまうか、おっかなびっくり買っていくことになります。しかし少量でも良い所で買っていると思いのほか、軽い気持ちで買い増し出来るものです。
私の主観ですが、金利低下局面では、ある程度格付けの高い銘柄が良いと思います。金利低下局面ということは、市場金利はそこそこ高く、一般的には景気後退局面と言うことになります。景気後退局面では企業の格付けは低下傾向にあります。数年後、もし、格付けが下がっていても心配したくないですよね。金利との兼ね合いになりますが、BBB格以上、10年以上の長期債ならばA格以上欲しい所です。
外債についても、債券としては同じ戦略になります。外債は常に、格付けの高い国の債券か、新興国の債券かをまず考えます。同じ外債のくくりに入っていますが、この2つはかなり性格が違うからです。
金利低下局面では、格付けの高い国の債券で良いと思います。国内債と違い注意する点は、景気や金利の状況が投資しようとしている国も日本と同じなのか、どちらが先行指標になっているかなどです。「景気の悪いのは日本だけ」とか「金利が下がっているのは日本だけ」という状況もあるからです。そして何より為替の変動が大きく影響します。
私は外債の長期債は余裕があるなら持っておくべきだと思っています。その理由は、「経済が破綻して通貨高になる国はない」という事実です。
日本は債権大国でもありますが、世界で稀にみる借金大国です。対GDP比では200%越えの第1位、1100兆円もの借金があり、しかも、その借金は毎年40~50兆円づつ増えつづけています。この状況が変わらない以上、外貨保有は必須と思っております。
何千万円、何億円という余裕があっても国が破綻してしまったら円資産は頼りになりません。考えたくはありませんが、備えておく余裕があるのならば備えておくべきです。
売買する場合
国内債で金利低下局面で運用する場合、償還まで持つよりも長期の債券を売買するべきでしょう。
これは例えば、7年債で1%金利が低下すると単価は1%の7年分で約7%上昇しますが30年債で同じく1%金利が低下すると単価は1%の30年分で約30%上昇するからです。
買い始めは、償還まで持つ場合と同じく打診買いからで良いと思います。金利上昇局面と違い、高格付けの長期債をずっと保有し、まだまだ金利は下がると思えば、より長期の債券に買い替え、もうこれ以上金利は下がらないと思えるところまで来たら短期債に買い替えるだけで良いと思います。
なお、金利低下局面では債券型の投資信託よりも、債券そのものを買った方が良い結果に繋がると思います。投資信託は安全性やバランスを考え、組み入れ債券の残存年数や銘柄など、バランス良く組み入れようとするからです。自分で債券を買えば、取って良いリスクは取れるのでリターンも多くなるということです。
外債についても、運用としては同じ戦略になります。高格付けの国の国債がメインで良いと思います。ただ、運用期間が長く為替の差損益が加わりますので、通貨による分散投資や組み入れ比率の見直しなどは必要です。私ならば、米国の30年割引国債(ゼロクーポン債)はよほどの事がない限り組み入れると思います。組み入れる通貨は、金利にもよりますが米ドル、豪ドル、ユーロなどでしょうか。
為替に影響する各国の注意点らしきものを少し解説しておきます。
米国
米国に関するニュースは米国だけでなく世界中に影響します。経済をみる上で多くの人が一番大事というイベントが、毎月第一金曜日に発表される米国雇用統計です。非農業部門雇用者数と失業率は特に注目されています。この数字が事前予想より良かったか悪かったかで、株や為替、金利など諸々のものが動いてきます。
そして、長期的な話になりますが今回の米国の好景気はどうやって始まったか覚えているでしょうか。私の記憶では、2006年頃の「シェール革命」というエネルギー革命がスタートだったと思います。このシェールオイルの採算ラインが、少しづつ下がっては来ていますが、現在45ドル近辺でしょうか。
原油価格がこのラインを下回って来ると大きな景気の転換点になる可能性が高いと思います。注意しましょう。あと、大きなところではトランプ大統領の発言ですね。
オーストラリア
日本と対称的に借金の少ない財務状況の非常に良い国です。そういう意味でも円との分散投資に良い国ではないかと思います。収入源は観光と資源があげられます。為替や経済は、最大の貿易相手国の中国の景気や政策に敏感に反応します。住宅価格の高騰もリスクとしてあげられて来ております。
ユーロ
通貨ユーロを使っている国が19ヵ国もあり、金利政策などを一にする訳ですから細々とした問題を数えたら切りがありません。大きな問題では、ユーロ圏一番の経済大国ドイツの経済が失速していることです。ユーロ圏は経済力で言うとドイツの次がフランスで、その次がもうイタリアなんですね。ユーロ圏も円、米ドルに対して考えた時、中国の影響があります。
仮にハイリスクハイリターンを狙うならば新興国の国債で、BRICsの中ではブラジル、インド、他はインドネシアなどは良いかと思いますが状況次第です。よほどの理由がない限り金利低下局面でそれ以上リスクのある通貨を選択する必要はないと思います。新興国の通貨を選択する理由としましては、米ドル、豪ドル、ユーロと比べて相当な金利差がある場合です。
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以上、債券の投資方法でした。仕組み債は状況や参照銘柄によって本当に千差万別なので一概にどうとは言えません。
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債券(11)債券などのデュレーションと残存期間の違い
デュレーションは、ファンドに組み入れられている債券の、途中で貰う金利込みでの元金回収までにかかる平均期間の事です。残存期間が同じでも、金利が高い方がデュレーションは短くなります。
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債券(9) 金利上昇局面は上がっていく金利を取り損なわない投資方法
今回は金利上昇局面での債券の運用です。金利が上昇すると債券の価格は下がりますが、一般的に金利上昇局面は景気回復期に当たります。積極的に運用するのであれば、ハイイールド債などで格付けの上がりそうな銘柄を狙うのはどうでしょう。