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この記事では、海外REITファンドのベンチマークや地域による違いなどのお話をします。
目次
ベンチマークによく使われるS&PのREIT指数
ベンチマークや参照指数に非常によく使われているのが、S&PのREIT指数です。S&Pは格付け会社のS&P(スタンダード&プアーズ)です。
S&P REIT指数には、色々な種類がありますが、基本となるのは、S&PグローバルREIT指数です。S&PグローバルREIT指数は、時価総額加重型で年1回見直されます。
S&PグローバルREIT指数は、先進国17ヵ国、新興国6ヵ国で構成された指数です。時価総額加重型になるため、米国の比率が60%~65%位を占めています。
S&P REIT指数には、S&PグローバルREIT指数から新興国を除いたS&P先進国REIT指数や、先進国を除いたS&P新興国REIT指数、その他にも、S&P米国REIT指数、S&PヨーロッパREIT指数等々、色々あります。更に、S&PグローバルREIT指数(除く日本)などの、(除く日本)とか(除く米国)などという指数もあります。
除く日本の場合は、比率が10%位ある日本が抜けるため、更に米国の比率が上がり70%を越えてきます。
対象が特定の地域でない海外REITファンドのベンチマークや参照指数は、殆どの場合は、S&PグローバルREIT指数かS&P先進国REIT指数、若しくはそれぞれの(除く日本)が採用されています。
また、時価総額でいくと、S&PグローバルREIT指数に占める新興国の比率は2~3%位なので、実はS&PグローバルREIT指数とS&P先進国REIT指数の違いは、殆どありません。
分散投資をする時に注意していただきたいのは、グローバルREITや先進国REITを購入すると、米国が70%位含まれているという事です。自分でバランスを取らないと、米国+αファンドになってしまいます。
海外REITファンドはどんな地域のものがある?
2020年現在、世界のREITの市場規模はざっくりと、世界全体で約150兆円、米国 約100兆円、日本 約15兆円、豪州 約9兆円、英国 約7兆円、ヨーロッパ 約8兆円、シンガポール 約5兆円、その他 約6兆円といった規模です。
REITファンドの純資産総額も、海外のREITファンドが国内の2~5倍程で推移しています。
国内REITファンドは、J-REITが62銘柄しかないため、どれもほぼ同じ投資先になってしまいますが、海外REITファンドは、いくつかの地域が選べます。
どんな地域があるのか?、例としてSBI証券のHPで探してみます。
トップページから、「投信」タブ→ 左の「カテゴリから探す」から「国際REIT」にチェックをして検索すると、投資地域が、「グローバル61・北米55・欧州2・アジア9・オセアニア8・エマージング2」と出ます。
もう1つ、楽天証券で探してみます。
トップページから、「投資信託・積立」タブ→ 右の「投信スーパーサーチ」→ 左の「海外不動産」にチェックをして検索すると、投資地域が、「米国54・エマージング11・アジア5・グローバル55・先進国123・オセアニア2・欧州3・北米4」と出ます。
時価総額通りに米国のシェアが突出している感じですが、数は少ないものの、米国以外の投資先も選べます。
グローバルREITとか先進国REITは 60~70%強が米国です
グローバルREITとか先進国REITと名の付くファンドの国別の構成比率は、日本を含むファンドで60~65%、日本を含まないファンドで70%強が米国です。米国REIT+α と言った方が正しいかも知れません。そのつもりで投資しましょう。
米国REITが海外REITのメインで +カナダが北米REIT
米国REIT市場は、約100兆円の市場規模があり、世界全体の60%以上を占めています。
市場規模だけでなくセクター別も、米国以外はほぼ、オフィスビル・商業施設・物流・住宅の4種類がメインで、それ以外はあってもホテルやヘルスケアが少々なのですが、米国はインフラやデータセンター、個人倉庫などの他にはないセクターも数種類あります。それらが、ホテルやヘルスケアも含めて、米国で数%~10%位の規模があります。
因みに、米国REITは約100兆円の規模があるので、米国で数%の規模は数兆円の規模です。米国以外の1番大規模な部類の国々と、同規模かそれ以上の規模があるという事になります。
米国REIT市場は、世界の中でずば抜けて発展しています。
米国REITはファンドの設定本数も多く、米国に絞って投資出来るので、海外REITの中で分散投資をするのならば、グローバルREITや先進国REITに投資せずに、米国REITに投資する事をお勧めします。
なお、北米REITは、90%位が米国で、カナダの比率は10%前後です。
オセアニア(豪州・NZ)はREITも人気
豪州は、国のイメージも良くREITだけでなく、株式や債券等でも日本人に人気のある投資先です。REITも約9兆円と大きな市場規模があります。日本や米国と違い、商業施設の比率が高いです。
アジアはシンガポールと香港がメイン
アジア市場では、シンガポールが時価総額で約5兆円の規模があります。アジアREITは、シンガポールと香港がメインになり、マレーシアやタイが加わります。
アジア・オセアニアという括りになるとこれに豪州も加わります。
欧州は英国とユーロが半々
欧州市場は、英国が1番大きくて時価総額 約7兆円の規模です。英国以外の欧州が合計で約8兆円規模です。世界全体で見ると約10%の市場になります。欧州も商業施設の比率の高い市場になります。
エマージング(新興国)REITは株式とは構成が違います
新興国REITは、世界シェアでは3%程度です。
株式市場で新興国というと、BRICsやネクスト11などになりますが、REIT市場で新興国というと、南アフリカ 40%以上・メキシコ 30%弱・タイ 約15%・マレーシア 約10% などがメインになります。
注意点として、そもそも不動産取引市場の安定性や透明性が課題になっています。さらに、先進国と比べて賃貸市場が未成熟という問題もあります。しかし、これらは裏を返せば、プロが運用するというメリットにもなります。
次回は、上場投信 コモディティ投信(ETC) です。
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投信(22)上場投信 コモディティETFで商品市況に投資
コモディティETFは、株式や債券とは別カテゴリの金融商品になるため、分散投資の対象として有効です。また、当たり前の話ですが、物価と相関性が高いためインフレヘッジに有効です。
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投信(20)不動産投信ファンドと不動産投信との違い
既に分散投資されているREITをさらに分散する。一見、運用コストがかかるだけのように思えますが、結構大きなメリットもあります。少額投資、毎月分配、海外REITに投資出来るなどのメリットです。