債券

債券(6)外債は通貨と発行体が大切。ハイイールド債は投信も有り。

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今回は、債券の種類別で外債とハイイールド債を説明します。

外債の種類と投資妙味

購入単位は銘柄、通貨によります。最低単位は数万円~100万円程度かと思います。

債券の発行方式は利付債、割引債(ゼロクーポン債)があります。

途中売却は相対取引になり、円貨決済と円貨に戻さず外貨のまま決済する外貨決済もあります。売却後、同じ通貨建ての商品を買うのであれば為替手数料を節約出来ますね。また、外貨建MMFがあればそちらを買い付けておく事もできます。外貨決済は証券会社または、通貨によっても出来ない場合もあります。外債も国債(ソブリン債)と社債があります。

建て通貨別に、高格付けの国の通貨と、新興国の中で、比較的に証券会社が取り扱う事の多い国の通貨に分けて説明したいと思います。

高格付けの国の通貨  国債と社債の使い分け

国内債に為替リスクとカントリーリスクが加わります。流動性も高くカントリーリスクも低めなのが特長です。また、取り扱う証券会社も多くあります。

代表的なものでは米国債(AA+)や豪ドル(オーストラリアドル)債(AAA)などが上げられます。カッコ内は国の格付けです。建て通貨では、米ドル・ユーロ・豪ドル・NZ(ニュージーランド)ドルなどが代表的です。

ちなみに日本国債は(A+)です。10年国債の利回りは(2019/10現在)ざっくりと日本-0.21% 、米国1.51% 、ユーロ(ドイツ)-0.59%、 オーストラリア0.89% 、ニュージーランド0.98%です。ずいぶんと低金利になってしまいました。

事業債ならもう少し金利が出ているようです。流通量の少ない社債は、途中売却する時少し買取り価格が安くなる傾向がありますので、4、5年までの債券であれば、よほど金利差がなければ、途中売却する予定があるなら国債、なければ社債で良いと思います。短くても7、8年持つのであればどちらでも良いと思います。

米国30年国債は割引債の人気商品です。発行時30年で償還なので、既発債であれば期間は色々選べます。発行後23年たっていれば残り7年で償還ですね。

目安として、残存29年3カ月、利回り2.01%でしたら、単価は55.55ドルになるようです。これが償還時100ドルでかえってきます。ただ、超長期債なので、単価のブレ幅は大きいと思っていて下さい。

割引債の事をゼロクーポン債とかストリップス債などとも言いますが、ストリップス債は正確には少し違います。利付き債の利札の部分と本体を切り離して別々に売っているのがストリップス債です(アメリカ人すげぇな それとも昔の人がすごいのか?)。

紛らわしいところでディープディスカウント債というものもありますがこちらは、割引方式で金利を出すのですが、クーポン(利札)がちょっとだけ付いている債券です。昔、利付き債と割引債の途中売却時の税金が違っていた頃に節税目的で買われていました。

債券と言うと堅苦しく聞こえますが、思いの外、柔軟に新しい形の債券が生成されています。高格付けの国の通貨は投資として積極的な運用には使いにくいと思いますが、貯蓄として組み入れるのは良いと思います。

新興国の比較的に投資対象になる債券

金利が高い替わりに大きめの為替リスクとカントリーリスクが付いてきます。

代表的なものではブラジル国債(BB-) 、インド国債(BBB-) 、インドネシア国債(BBB)などです。もう少し踏みこむとメキシコ国債(BBB+)、 南アフリカ国債(BB)、トルコ国債(B+)なども見かける事もあります。10年国債の利回りは(2019/10現在)ブラジルレアル7.00% 、インドルピー6.47%、 インドネシアルピー7.25% 、メキシコペソ6.79%、 南アフリカランド8.27% 、トルコリラ13.4%といったところです。

新興国の債券では発行体は気に掛けましょう。ソブリン格付けと企業の格付けでは格付けの方法が違いますが、新興国と世界のトップクラスの企業では信用力が逆転している場合があるためです。ちなみに、海外の企業が発行する債券を証券会社が引き受ける(販売する)場合、日本では知名度がないだけに、万が一にでもデフォルトなどされた日には「変なもの売りつけやがって」「どうしてくれるんだ」などとなります(投資家の自己責任なんですけどね)。なので発行体が海外の企業の場合、知名度が無くても相当しっかりした会社が多いです。ただし、国債やジャンク(ハイイールド)債は別です。

気になったら、債券には発行時に目論見書というものもが作られているので、そちらをご覧になったら良いと思います。たぶん、「銘柄名、目論見書」で検索すればPDFなどで出てくるかと思います。私は、ほとんどの部分は読む気にはならないのですが、発行会社の沿革や概要など「へー」と思える事がわりと分かりやすく書いてあります。知識欲の強い方には、面白い読み物かも知れません。

外国債の高金利の長期債は投資対象として意識しておいた方が良いと思います。高格付けの国の通貨が軒並み低金利であることを考えると、今は新興国でも国の安定感が高まった時には大きな金利低下が見込めるからです。

過去には日本が低金利になった後も、米ドル債はしばらくは5%を超える高金利を維持しておりました。米ドル債が低金利になった後も豪ドル債はしばらくは7%以上を維持しておりました。高格付けの国の中でもそんなタイムラグがあったのです。

仮に、利率10%の30年債を単価100円で100万円買い、5年後に金利が4%まで下がったとします。利益はいくらくらいになると思いますか?為替は考慮しておりませんが、「債券価格=(利率×残存年数+100)×100÷(利回り×残存年数+100)」 この式に当てはめてみると単価175円になります。100万円が5年で175万円になるということですね。しかも保有していた5年間で他に金利を50万円もらっていますので利益は125万円です。

デフォルト(債務不履行)するというリスクはもちろんありますが、投資を検討する価値は十分にあると思います。

ハイイールド債(ジャンク債、低格付け債、投資不適格債)投信も有り?分散投資にも限界がある。

ハイイールド債はジャンク債、低格付け債、投資不適格債などとも呼ばれ格付けでBB+以下の債券を言います。

格付け機関はいくつかありますが、それぞれで格付けが違う事もあります。その場合はどう判断したらよいのでしょう。格付けはあくまで目安なので、自分で投資する場合はどの格付け機関の格付けを採用するか自分で判断したら良いかと思います。

大手の運用機関は事前に格付けが分かれた場合どうするかそれぞれでルールを決めているようです。

もう一つ、格付けには発行体に付く発行体格付けと債券それぞれに付く格付けがあります。あまり気にしなくて良いと思いますけど、正式には債券それぞれに付く格付けで見ます。格付けが見たい時は目論見書からも見られますし、それぞれの格付け機関のサイトからも見られます。債券などの金融商品につく格付けはストラクチャードファイナンスという項目に入っています。

これまでの劣後債から外債までは、普通の債券と違いその債券の特徴(株に転換出来るとか外貨建てとか)がはっきりしていました。

ハイイールド債は言ってしまえば格付けが低いだけです。しかし、債券の魅力は金利と安全性です。その両者のバランスを大きく調整しているのがクレジット(信用)リスクになります。高金利の債券を償還まで保有しても良いですし、長期債であれば発行体の信用力が上がると値上がりもかなり期待できます。

先進国は世界的に低金利という投資環境の中、金利低下による値上がりを期待できる、債権としては数少ない売買目的でも買える投資対象かと思います。

ただし、良い事ばかりではなく、デフォルトリスクがあると言う事は他人事ではなく、当然自分の買っている債権がデフォルトすることもあると言う事です。「まさか自分が」とか「そうは言っても」とか考えないで下さい。自分にとって大き目の金額を投資する時には出来れば数銘柄から10銘柄くらいに分散投資する事をお勧めします。勿論、ハイイールド債だけに投資するとかは分散投資したとしても論外ですよ。

景気が悪くなれば、買っていた銘柄が次々とデフォルトする事もありえます。ハイイールド債に関しては投資信託(ファンド)を利用するという手もかなり有効かと思います。

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次回は、債券の種類別で仕組み債を説明します。

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仕組債は基本的に債券とは考えないで下さい。今回は、クレジットリンク債、リバースデュアルカレンシー債、デュアルカレンシー債、為替ジャンプアップ債について解説したいと思います。

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債券(5)新株予約権付社債(転換社債CBとワラント債)の仕組み

新株引受権においては、2002/4施行の商法改正でくくりが大きく変わっています。転換社債(CB)について主に説明しています。

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