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目次
転換社債の転換請求権、ワラント債の新株引受権、ストックオプションのことを新株予約権と言います
転換社債とワラント債(非分離型)のことを新株予約権付社債と言います。ストックオプションは社債ではありません。
簡単に説明します。「予め決められた価格で決められた株数までの株式を買う権利」です。「権利」ですので執行する時には、別に買付代金が必要です。
ほとんどは取締役や従業員に対して自社株を買う権利を割り当てるのですが、2002/4施行の商法改正により対象が広がっています。
新株引受権においては、2002/4施行の商法改正でくくりが大きく変わっています。
転換社債型新株予約権付社債
単に転換社債とかCB(コンバーチブルボンド)などとも呼ばれています。むしろそちらの方が一般的かと思います。
転換社債は、額面・償還価格・利率・期間など基本的な債券の条件の他に、転換価格と転換請求期間が発行の時に決められています。株に交換出来るという有利な条件が付く替わりに、利率が普通社債よりも低くなります。(さらに、付帯条項としていくつかの条件が付く事もあります)
転換社債は、転換価格で額面金額分の株式に転換する権利のついた社債です。社債の額面金額を株式に転換するので、追加の資金は必要ありません。
転換する権利は社債保有者側にあるので、「転換するかしないか、いつするか」は自分で決められます。なので転換社債を買った後、株価が下がってしまって株に転換したら損だという時には、社債のまま保有し債券として金利をもらい、株価が転換価格よりも上がって来たら、株式として値上がり益を狙い、株に転換、もしくは、(債券価格も100円を越えて株に転換した時の理論的な価格(理論値=パリティ)に近 い価格になると思うので)債券のまま売却することができます。
どちらかというと、債券のまま売却する方が一般的です。株に転換すると少し時間もかかりますし、端株も出ますしね。因みに、パリティと実際の転換社債の価格との離れている率を乖離率(かいりりつ)といいます。
式は
パリティ =株価/転換価格×100
乖離率=(価格-パリティ)/パリティ×100
です。
転換する場合、転換価格が400円で額面金額が100万円でしたら、転換社債と交換で株式2,500株をもらえます。転換価格が300円だったら? 3,333.333・・・株になりますね。
1,000株単位の株でしたら3,000株が単位株、333株が単位未満株で0.333・・・株が端株になります。単位未満株は売買単位に満たない株、端株は1株に満たない株です。単位未満株までは発行され、端株はある程度は現金払いで、残りは切り捨てになるのが通例のようです。「ある程度」の部分は(転換社債の)銘柄ごと違うようです。
詳しく知りたい場合は、その転換社債の目論見書で確認できます。株式分割などで後から変わっている事もあるので、訂正目論見書があればそちらも確認が必要です。300円の株ならいいですけど、1株100万円の株だったらちょっと気になりますよね。まあ、主幹事証券会社がうまくやってくれているはずなので気にする必要はないんですけどね。人を信じて楽をしましょう。人を信じるというリスクを負って、楽をするというリターンを得るのです。転換請求期間は、だいたい発行後1~2か月後から償還1日前です。
付帯条項について、よくある付帯条項を2つほど紹介しておきます。
コールオプション条項
例をあげた方が分かりやすいと思うので例をあげます。
例) 130%コールオプション条項による繰上償還
2019年10月10日以降、当社普通株式の終値が、20連続取引日に渡り、転換価格の130%以上であった場合、当社は、本新株予約権付社債権者に対して、当該20連続取引日の末日から30日以内に、30日以上60以内の事前の通知を行った上で、残存する本債券の全部をその額面金額の100%で繰上償還することができる。
という条項の意味は、読んだ通りですが、終値で20日以上株価が転換価格を30%以上、上回っていたら(パリティ130以上)事前の通知を行った上で、額面金額で償還する権利が会社側にありますよ、という意味です。なので、この条項が条件を満たし発動したら、債券を売却するか転換するかしないと、(額面金額100万円持っていたとしたら)せっかく130万円以上しているのに額面金額の100万円で償還されてしまうということです。
投資家側に不利な条項です。発行者側としては、株価の高い時に償還になれば株式に転換してもらえるので転換社債は社債から株式になり、つまり、負債から自己資本になり返さなくてよくなるという事です。
転換価格下方修正条項
転換社債発行後、決められた時点において株価が下がっていた時に、転換価格も引き下げられるという条項です。
投資家側にとっては嬉しいかぎりの条項です。発行者側としては、転換を促進出来る反面、転換で発行する株数が増えてしまうというデメリットもあります。また、この条項の付いた転換社債を発行している銘柄には、大きな注意点があります。条件によっては、転換社債を大量に引き受けて、その銘柄を空売り(売り建て)で売り崩し転換価格を下げて、転換した株式と空売りで相殺して利益をあげると言う事が出来てしまいます。既存株主は堪ったものではありません。
このタイプのすごく良い条件の転換社債が、個人投資家向けに発行されるのをあまり見たことはありません。
新株予約権付社債(ワラント債(非分離型))
紛らわしいのですが、新株予約権付社債という言葉は、転換社債を含めての広い意味での使い方と、ワラント債(非分離型)のみを指す狭い意味での使い方があります。紛らわしいので以下 ワラント債(非分離型)と言います。
転換社債が社債部分を株式に転換するのに対して、ワラント債(非分離型)は債券部分と別に新株引受権が付いています。従って新株を引受けるのに別途資金が必要です。どのくらいの新株が引き受けられるのかは、付与率で表され額面金額分で付与率1となり、付与率1が最高になります。たいへん短い説明ですがワラント債のほとんどは分離型になりますのでワラント債(非分離型)を買う機会はほぼないかと思います。
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次回も、債券の種類別で、外債、ハイイールド債を説明したいと思います。
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