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目次
国際収支統計って何? 何がわかるの?
国際収支統計は、国の1年間の外国との経済取引きの統計です。輸出入、外国への、或いは外国からの投資、金利・配当、無償のものも含まれます。これらを3つの大項目に分けて計上します。収支なので、どの項目も日本から外国に出て行った分と、外国から日本に入って来た分とがあります。原則として、取引価格で評価し、円建てで換算します。
同じく国の経済力の強さを表す統計に、GDP(国内総生産)というものがあります。GDP(国内総生産)は国内で生み出された付加価値の統計で、国際収支統計は、外国との経済取引きの統計です。
この2つを、単年で見ても「ふぅ~ん なるほど」とか「へ~ すごいな」とか思える程度かも知れませんが、20年30年という期間で見ると、日本の強さの質が大きく変わって来ている事がわかります。高度な技術のいらない工業製品の輸出から、高度な技術の必要な製品に、そしてサービスに、さらに海外投資からの投資収益に利益の軸足を移してきました。
この東洋の小さな島国で、資源も植民地も持たず、その間ずっと経済という大きな項目で、世界で2番3番という地位にいた日本という国を、素直に誇りに思えます。
国際収支統計は、速報(月次)・第二次速報(四半期)・年次改定(年次)があり、それぞれ翌々月 第6営業日・翌々四半期最初の月 第6営業日・翌年及び翌々年(再投資収益などがあるため)4月 第6営業日に、財務省、日本銀行などのホームページなどで発表されます。
IMF国際収支マニュアル(BPM)第5版から第6版へ
国際収支のカテゴリーは、次の表のようになります。
カテゴリー分けは、IMF国際収支マニュアル(BPM)が、第5版(1993年公表2013年まで採用)から第6版(2008年公表2014年から採用)に切り替わっています。
青文字 BPM5にあってBPM6で無くなる、若しくは名称変更される項目。
赤文字 BPM5には無くBPM6で出来る、若しくは名称変更された項目。
国際収支(BPM5からBPM6への変更点) | 経常収支 | 貿易・サービス収支 | 貿易収支 |
サービス収支 | |||
第一次所得収支(所得収支から名称変更) | |||
第二次所得収支(経常移転収支から名称変更) | |||
資本収支(BPM6で無くなる) |
投資収支(BPM6 金融収支①へ) |
直接投資 | |
証券投資 | |||
金融派生商品 | |||
その他投資 | |||
その他資本収支(BPM6 資本移転等収支②へ) | |||
金融収支(BPM5 投資収支①から) | 直接投資 | ||
証券投資 | |||
金融派生商品 | |||
その他投資 | |||
外貨準備(BPM5 外貨準備増減③から) | |||
資本移転等収支(BPM5その他資本収支②から) | |||
外貨準備増減(BPM6 金融収支の外貨準備③へ) |
その他にも変更点があり、貿易収支とサービス収支の小項目が、一部分入れ替えられました。
すっきりさせるとこうなります。
国際収支(BPM5)
国際収支(BPM5) | 経常収支 | 貿易・サービス収支 | 貿易収支 |
サービス収支 | |||
所得収支 | |||
経常移転収支 | |||
資本収支 | 投資収支 | 直接投資 | |
証券投資 | |||
金融派生商品 | |||
その他投資 | |||
その他資本収支 | |||
外貨準備増減 |
国際収支(BPM6)
国際収支(BPM6) | 経常収支 | 貿易・サービス収支 | 貿易収支 |
サービス収支 | |||
第一次所得収支 | |||
第二次所得収支 | |||
金融収支 | 直接投資 | ||
証券投資 | |||
金融派生商品 | |||
その他投資 | |||
外貨準備 | |||
資本移転等収支 |
国際収支の項目の簡単な説明です。わかりやすさ重視のため、若干、正確性に欠けるかも知れません。
国際収支 経常収支・金融収支・資本移転等収支の3つの大項目があります。
経常収支 3つの大項目の1つ。財貨・サービス・所得の有償・無償の取引きの収入と支出の差額です。貿易・サービス収支、第一次所得収支、第二次所得収支の合計。
金融収支 3つの大項目の1つ。対外金融資産・負債の増減に関する取引きの記録です。海外に工場を建てる等の直接投資や、外国証券を買う等の証券投資等の合計。値上がり益や値下がり損もここに計上。含み損益は計上しません。
資本移転等収支(旧 その他資本収支) 3つの大項目の1つ。道路や鉄道、ダムなどの資本財を無償で援助した支出。簡単に言うとODAなどのインフラ整備です。
経常収支の項目
貿易・サービス収支 貿易収支とサービス収支の合計。貿易収支は、物の輸出入の収支。サービス収支は、物のやり取りを含まない収支。海外旅行、運輸、保険、金融、通信、文化的活動、特許使用料など。
第一次所得収支(旧 所得収支) 金融収支で投資した先からの利子・配当、収益。非居住者労働者の雇用報酬もここになります。
第二次所得収支(旧 経常移転収支) 食料や医薬品などの消費財を無償で援助した支出。国際機関(国連・IMFなど)への拠出もここになります。
金融収支の項目
旧 資本収支 投資収支とその他資本収支の合計。BPM6で無くなった項目です。
直接投資 海外に支店や工場、家を建てる等の投資。
証券投資 外国株や外国債券などの外国証券への投資。
金融派生商品 金融派生商品(デリバティブなど)への投資。
その他投資 直接投資、証券投資、金融派生商品、外貨準備以外のすべての投資。
外貨準備(旧 外貨準備増減) 政府や中央銀行が保有する、ただちに使用出来る外貨残高。現預金や債券なども含みます。為替介入などに使う。
特に抑えておきたい項目は、経常収支、貿易・サービス収支、第一次所得収支(旧 所得収支)、金融収支(旧 投資収支)です。
次回は、直近40年程の経済的な出来事について、次々回以降は、国際収支の推移、GDP(国内総生産)のお話の予定です。
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