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目次
好景気?不景気?所得の二極化と物価政策
安部総理の時代から、日本政府は、景気は良いという判断のもとインフレ政策を取ろうとしています。
TVやネットを見ていると、海外旅行、新しい商業施設、画期的な新商品、ブランド、グルメ、観光スポット等々、景気の良さそうな流行の話題がズラッと並んでいます。しかし、これ、そこそこ満喫するにも、年収1000万円位はいりそうです。
こちらを基準に景気を見たら、確かに景気は良さそうです。
一方で、平成30年の国民生活基礎調査の結果では、世帯別国民所得の平均値は551万円、中央値は423万円です。
中央値というのは、全世帯の真ん中の世帯、約5853万世帯の真ん中2692万番目辺りの世帯の所得です。平均値よりも実態に則していると言われています。
中央値423万円と言われると、日本人の半分は年収423万円位というイメージに受け取られそうですが違います。100万円~400万円位の収入の人が大勢いるという事です。
こちらを基準に景気を見たら、とても景気が良いとは言えなさそうです。
今、世界では、一部の投資家や経営者サイドの人達と、多くの労働者とで、収入の二極化が進んでいます。
この格差の原因は何だろう、これからどうなるのだろう、というお話しです。
労働者の賃金はビジネスプランのコスト
投資家や経営者が、事業を始めるにあたって、ビジネスプランを立てます。
このビジネスプランの、非常にウェイトの大きなコストとして、労働者の賃金があります。多くの労働者の賃金は、最低賃金に近い水準でビジネスプランのコストとしてここに組み込まれています。
正社員、非正規社員問わず、アルバイトとあまり変わらない職務内容の仕事は、だいたいここに当たります。
さらに、投資収益や、AI、ロボットなどの労働者を必要としないビジネスプランも増えてきており、労働の価値は益々下がってきています。
労働者は、「世の中便利になるねぇ」と手放しに喜んでばかりもいられません。労働者にとって、ロボットは単価の安い競合相手なのですから。
「機械化が進んでこんなに便利」などと喜んでいいのは、機械化されない分野で収入を確保出来ている人の話です。
現在の好景気は、労働者の賃金を最低賃金に近い金額に抑えたビジネスプランでの好景気です。
このビジネスプランから得られる投資収益を分け合う投資家や経営者サイドの人たちは、高収入になり得ます。具体的な会社の役職で言うと課長職以上と、その候補の社員たちです。
しかし一方で、ビジネスプランのコストとして組み込まれている労働者の賃金は、どんなに景気が好くなろうと、おいそれと上がる訳がありません。
労働者の賃金を上げてしまったら、ビジネスプラン自体が崩壊しかねないからです。
投資家や経営者サイドの人たちが末端まで、十分に利益を享受した後に、ほんの少し上がるかも知れない程度だと想像出来ると思います。
本来こういう事に歯止めを架けるのは政治の役目です。しかし、規制は強化よりも緩和の方向に動いています。資本家に優しく労働者に厳しい世の中です。
景気対策は資本家の為のものであって労働者の為のものではない
さて、話は戻りましてインフレ政策のお話しです。
今、日本はじゃぶじゃぶと、本当にじゃぶじゃぶとお金を使い、色々なビジネスプランの後押しをしています。景気対策という奴です。使ったお金は次世代の借金です。
この景気対策で恩恵を受けるのは、投資家や経営者サイドであって、労働者ではありません。しかし、借金は皆で返します。
昔の日本でしたら、経営者は労働者の方を向いていました。会社が潤えば労働者の賃金にも反映されました。しかし、今は欧米流で、経営者は株主の方を向いています。会社の利益は株主の配当金に廻されます。
景気対策が成功すれば、インフレ時代の到来です。労働者は、収入が増えないまま物価が上がってしまい、生活はさらに苦しくなります。
投資収益をうまく享受できていない者にとっては厳しい時代になります。
ルールは勝った者が決めるという厳しいルール
少し視野を拡げて、歴史を振り返ってみます。
昔々から人間社会は、王政、武家社会、貴族制度、カースト制度などと、自然と階級が出来ては革命や戦争で壊される事を繰り返して来ました。
過去には、王様と奴隷、貴族と平民、武士と農民など、格差は行き着くところまで行っています。今の収入の二極化も含めて、勝った者がルールを決めるのですから、当たり前と言えば当たり前の歴史の流れです。
今回もこの程度の格差で留まるとは思えません。
少し前まで、政治家、芸能人、上場企業の社長など、競争で勝ち得ていた職業が、今は世襲がかなり増えてきています。
裁判も昔に比べて、お金や地位のある人が優位になってきていると感じます。裁判が不公平になってきているという意味ではなく、弁護士の優劣で結果が大きく変わって来ているという意味です。
「ルールは勝った者が決める」というルールから、弱者を守ってくれていたものが各種規制というものでした。しかし、まるで規制緩和は弱者を救うためのもののように報道され、規制緩和はグイグイと推し進められ、規制はかなり取り払われてしまいました。
まとめ どうしらいいんだろう?
現役世代の資本家と労働者の格差の話をしてきましたが、実は、これらの格差がもっとも顕著に顕れるのは、老後です。残酷な話ですが、収入が無くなった時に貯えが全く足りない事に気付かされます。
労働者は、労働力を単純にお金に替えるだけでは、金銭的に今よりさらに厳しい時代になってくるでしょう。
労働力に付加価値を付けたり、投資収益をうまく享受して、貯蓄をしていく必要があります。
才覚のある人でしたら、商売を始めるのが1番良いと思います。「いきなりそんなにリスクは取れない」というのであれば、ネットビジネスも良いでしょう。ある程度資金があるのなら、投資という選択肢もあります。
厳しい時代に突入しつつありますが、政府がじゃぶじゃぶとお金を使い、色々なビジネスプランの後押しをしている今なら、まだ投資収益を確保するチャンスはあると思います。
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外貨保有はなぜ必要?現実的な日本経済が崩壊するリスク
よく話題になる日本経済が崩壊する程のリスクには、①大地震などの自然災害、②一部アジア諸国との地政学的リスク、③日本の財政破綻などが挙げられます。
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まだ間に合う♪世襲と格差は拡がっていく
平和が長く続く事は良い事だと思いますが、二世代三世代かけて格差が拡がっていくことにもなります。何世代かかけて拡がった格差は、貴族と平民、武家と農民のような逆転不可能な格差になります。格差は、教育や相続財産、世襲というかたちで顕れてきます。